2019 Fiscal Year Research-status Report
多重免疫染色解析システムを用いたがん免疫療法の治療効果予測モデル構築
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19K18625
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
中山 貴之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (10727225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 腫瘍免疫 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、淡明腎細胞がんの多重免疫染色組織評価プログラムを作成した。2007年から2016年の間に、腎がんの診断で手術(根治的腎摘除または腎部分切除)を施行し、病理学的に淡明腎細胞癌と診断された100例を対象とした。対象症例の手術標本に対し、多重免疫染色を行い、腫瘍内の各免疫細胞(CD4+T細胞、CD8+T細胞、制御性T細胞、B細胞、マクロファージなど)の密度、腫瘍細胞やマクロファージにおけるPD-L1の発現を測定し、臨床データと比較検討した。対象症例の観察期間中央値は7.1年、癌死した症例は18例 (18%)であった。患者背景は、年齢中央値 64歳、男性/女性: 75例/25例、pT1/2/3/4: 35例/17例/47例/1例, pNx+pN0/pN1+pN2: 96例/4例, M0/1: 89例/11例であった。腫瘍内CD3+CD8+細胞密度により、高浸潤群 (n=50)と低浸潤群 (n=50)に2群に分けて、癌特異的生存率を比較したが、有意差はなかった (P =0.583)。また、腫瘍細胞中のPD-L1陽性率に2群分け (≥1% [n=47], <1% [n=53])し比較検討したが、両群の間の癌特異的生存率に有意差はなかった (P =0.126)。腫瘍内CD68+細胞密度による検討では、高浸潤群 (n=50)が低浸潤群 (n=50)に比べて、癌特異的生存率が低い傾向にあった (P =0.055)。データ集計時点で、観察期間が比較的短く、担癌状態で生存している症例もいるため、期間を空けて再検討をする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の転勤のため、本研究の対象症例を、転勤先(埼玉医科大学総合医療センター)に変更する必要があった。現在、埼玉医科大学総合医療センターにて、本研究の倫理審査を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の転勤に伴い、今後、本研究は埼玉医科大学総合医療センターの症例で検討する。現在、埼玉医科大学総合医療センターの倫理審査委員会にて、本研究の倫理審査を行っている段階である。倫理審査が完了次第、埼玉医科大学総合医療センターにて、腎がんの診断で免疫チェックポイント阻害薬を投与された症例を対象として、腫瘍組織標本を、多重免疫染色組織評価プログラムを用いて解析する予定である。腫瘍組織標本の解析結果と臨床データを比較検討し、治療効果予測因子を抽出する。
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Causes of Carryover |
研究室に保管されていた試薬を使用したため、新規に試薬を購入を必要としなかった。また学会参加費、旅費が不要であった。次年度は、新規に試薬の購入を行い、学会参加を行う予定である。
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