2021 Fiscal Year Annual Research Report
精子エピゲノム多様性にもとづいた子孫の疾患素因の分画
Project/Area Number |
19K18627
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 龍一 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00781759)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精子形成 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討において、DNA脱メチル化薬剤を投与された雄マウスに由来する子孫は高齢雄マウスに由来する子孫と同様の表現型変化を示すことが明らかとなった。そこで、本年度は脱メチル化薬剤を投与された雄マウスの精子形成を詳細に解析した。まず、DNA脱メチル化薬剤の投与が精巣重量に及ぼす影響を解析した。DNA脱メチル化薬剤の投与量については0.05 mg/kg, 0.075 mg/kg, 0.1 mg/kgの投与を検討し、vehicleだけを同じ条件で投与したものと比較した。2日おきに6週間の腹腔内投与をおこない、投与完了後に精巣を摘出し重量を測定した。その結果、マウスの体重そのものにはほとんど影響を認めなかったが、精巣重量はDNA脱メチル化薬剤の投与量依存的に減少していた。また、精巣上体尾部から取り出した精子数もDNA脱メチル化薬剤の投与量依存的に減少していた。精巣重量の減少については、投与をやめてから3ヶ月後には全ての投与群においてvehicle群と同等レベルにまで回復した。そこで次に、精原細胞のDNAメチル化レベルに対するDNA脱メチル化薬剤の影響を解析した。その結果、DNA脱メチル化薬剤はPLZF強陽性の精原細胞のDNAメチル化レベルにはほとんど影響しない一方で、PLZF弱陽性の精原細胞をより脱メチル化しやすい傾向のあることが明らかとなった。以上の結果から、雄へのDNA脱メチル化薬剤の投与が引き起こす子孫の表現型異常と関連した精子DNAメチル化は分化型精原細胞以降において成立する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)