2020 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲンによるNrf2活性化に着目した閉経後メタボリック症候群の治療戦略
Project/Area Number |
19K18629
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
成味 恵 浜松医科大学, 医学部附属病院, 医員 (50594321)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | エストロゲン / 閉経 / 内臓脂肪 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究費獲得後より、閉経による内臓脂肪組織への影響を、病理学的かつ分子生物学的に解析する目的で、閉経モデルマウス作成を行ってきた。閉経モデルマウスは、卵巣摘出によって閉経させるモデルによる実験が数多くなされてきている。しかし、このモデルは外科的閉経モデルであり、実際の自然閉経とはホルモン動態が異なることと手術による閉経であることが自然閉経とは大きく異なるため、今後の自然閉経での研究を進めるために最も自然閉経に近いとされるVCD投与による閉経モデルマウス作成を試みてきた。VCDは一次・二次卵胞を選択的に閉鎖し、結果的にエストラジオールを産生する卵胞を消失させることによって閉経させるという機序であり、ホルモン動態は自然閉経と同様である。また手術によるマウスへの負荷も生じない。 VCD投与(腹腔内投与)を安全かつ確実に行えるようになり、また腟細胞診による月経状態の評価も可能となったため、当科でのVCD閉経モデルマウス作成はこの2年間で確立した。 現在、このVCD閉経モデルマウスを用いて、閉経後12週・16週・20週でのマウスから血液、皮下・内臓脂肪組織、大動脈、子宮、卵巣、大腿骨、大腿二頭筋の各組織を採取した。今後は脂肪組織の病理切片や遺伝子・タンパクから閉経後内臓脂肪で起きている現象をコントロールマウスと比較して分析する予定である。また、エストロゲン感受性の高い骨組織、平滑筋組織、子宮組織、大動脈組織を採取し、閉経後の経時的な各組織の変化も分析する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VCD閉経モデルマウス作成は順調に進行したが、想定より閉経を確認できるまでの時間が長くかかったこと(参考論文よりも閉経状態になるまでに2週~4週時間が長くかかった)、動物実験施設内の工事に伴い、マウス飼育に支障が出たことでやや進行が遅延した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在飼育中のVCD閉経モデルマウスのサンプリングを行う。このサンプリングは5月に完了予定である。その後は採取した組織を病理学的・分子生物学的に分析し、閉経が内臓脂肪へ与える影響と、そのメカニズムを解析する。また、それと並行して、閉経後12週、16週、20週での各組織(大動脈、骨、平滑筋、子宮)への影響を経時的に比較する予定である。
|
Causes of Carryover |
本来であれば、今年度内にモデルマウス作成が完了し、かつ各組織サンプリングを終了している予定であったが、予定よりもサンプリング時期が遅くなってしまい、次年度の始めに完了する。そのため採取した組織検体での各解析に使用するELISAキット購入やマイクロアレイ発注のための費用が今年度はかからずに経過した。次年度にこの解析を行うので、次年度に繰り越して使用することとなる。
|