2020 Fiscal Year Annual Research Report
選択的組織採取と統合ゲノム解析による子宮腺筋症の病態解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K18633
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
須田 一暁 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80650621)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 子宮腺筋症 / レーザーマイクロダイセクション / 変異アリル頻度 / 正常子宮内膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
計23症例の摘出子宮よりマルチサンプリングを行いOCTコンパウンドで包埋した凍結標本を作製した。子宮腺筋症上皮組織44サンプル、子宮腺筋症間質組織13サンプル、正常子宮内膜組織57サンプルに対しレーザーマイクロダイセクション(LMD)による組織特異的サンプリングを行い、DNAを抽出した。上記23症例の血液から得られたDNAを正常コントロールとして解析に使用した。先行研究(Suda et al. Cell Reports. 2018)にて設計した76遺伝子のターゲットプローブを用いて上記子宮腺筋症44サンプル、子宮腺筋症間質13サンプル、正常 子宮内膜57サンプル、血液23サンプルから得たDNAに対しターゲットシーケンスを施行した。平均デプスは254(±45.2)、シーケンス領域における20リード以上のカバー率は99.8%であった。体細胞変異の解析は血液から得たDNAのシーケンスデータをリファレンスとした。子宮腺筋症組織で変異を認めた代表的な遺伝子(サンプルにおける頻度、症例あたりの頻度、平均変異アリル頻度)はKRAS(34%、35%、0.38)、ARID1A(20%、30%、0.24)、ARHGAP35(16%、22%、0.19)、PIK3CA(11%、13%、0.37)であった。正常子宮内膜組織で変異を認めた代表的な遺伝子はPIK3CA(68%、91%、0.10)、ARHGAP35(60%、91%、0.09)、KRAS(53%、74%、0.17)、PPP2R1A(28%、48%、0.07)であった。23症例のうち3症例で子宮腺筋症と子宮内膜間でKRAS変異が共有されていた。先行研究のデータも合わせると子宮腺筋症が存在する子宮内膜でKRAS、PIK3CA変異を多く認められるという結果であった。現在サンプルを絞って全ゲノムシークエンスとRNAシークエンス実験を進めている。
|