2023 Fiscal Year Annual Research Report
脱落膜分泌因子による絨毛浸潤制御機構~ART妊娠に伴う癒着胎盤の予測へ向けて~
Project/Area Number |
19K18635
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川村 裕士 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (80792621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脱落膜分泌因子 / ART妊娠 / 癒着胎盤 / 帝王切開 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1:脱落膜分泌因子がヒト絨毛外栄養膜細胞(EVT)の浸潤制御にどのように影響するかを解明すること、2:生殖補助医療(ART)における癒着胎盤の発症予測法を開発することである。 1: 先行研究を参考に、絨毛浸潤への影響が分かっていない脱落膜分泌因子としてIL-5、IL-7、IL-9、IL-13について検討した。EVT由来の不死化細胞株(HchEPC1b)を培養し、上記サイトカインによる刺激から24、48、72時間後にMTT assayを行った。いずれもcontrolと比較して細胞数変化は認められず、細胞増殖への影響は乏しいと考えられた。続いてHchEPC1bを培養し、同様にサイトカイン刺激を行い、刺激から24、48時間後に細胞を回収してリアルタイムPCRによりMMP9およびMMP2の発現検討を行なった。24時間後に回収したサンプルにおいて、IL-5刺激ではMMP9, MMP2発現が有意に減少、IL-7, IL-13刺激ではMMP9, MMP2発現が有意に増加した。本結果から、これらのサイトカイン刺激が絨毛細胞の浸潤能に影響すると仮定し、invasion assayを行なった。 2: 当院の臨床データを用いて ART妊娠における癒着胎盤のリスク因子を検討した。本検討により、ART妊娠では子宮鏡手術既往、子宮内膜症が癒着胎盤のリスク上昇と関連する可能性が示唆された。また、帝王切開後の癒着胎盤に関する基礎的な知見を得ることを目的として、帝王切開後の子宮筋の菲薄化に関する動物実験を、追加実験として実施した。
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