2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of tadalafil for fetal growth restriction
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19K18638
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 博明 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (30727996)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胎児発育不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性肺高血圧症を有する妊婦からは、母体が低酸素であるため、胎児の発育が抑制され、小さい児が出生する。一方、我々が原発性肺高血圧の妊婦の治療のためホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬1つであるタダラフィルを投与した妊婦からは、正常体重の胎児が出生することも観察された。その観察に基づいて、胎盤形成不全による低酸素のため、胎児の発育が抑制される胎児発育不全(FGR;fetal growth restriction)に対しても効果がある可能性を見出し、タダラフィルを投与したFGRモデルマウスの実験系においても胎仔体重が著しく改善されることを明らかにした。本研究では、種々のFGRモデルマウスにタダラフィルを投与し、FGRに対するタダラフィルの胎児マウスにおける効果について分子レベルで解析する。具体的に、タダラフィルの胎児発育促進に、アミノ酸輸送や代謝への影響について中心的に解析する。胎盤での栄養素輸送は、mammallian Target Of Rapamycin( mTOR)が主に調節している。mTORの評価として、mTOR complex 1(mTORC1)とmTOR経路の下流にあるリン酸化4E-binding protein 1(4E-BP1)、S6 Ribosome(S6R)を測定した。具体的には、C57BL6マウスにNO合成阻害薬であるL-NAME(Nω-nitro-L-arginine methyl ester)を投与しFGRモデルマウス(L-NAMEモデル)を誘導し、実験を行った。妊娠11日目よりL-NAMEを母獣に投与し、FGRモデルとし、妊娠17日目に犠牲剖検をおこなった。剖検後、胎盤を採取し、ウエスタン・ブロット法によって胎盤のリン酸化mTOR、4E-BP1・S6Rを半定量し、対照群、FGR群で比較した。妊娠13日目の時点で対照群と比較し、FGR群では胎盤のリン酸化mTOR、4E-BP1、S6Rがいずれも有意に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、以下の2つの研究を計画していた。ロードマップとして、研究1を初年度、研究2を2年目に実施するよう計画を立案していた。初年度が終了した時点で、研究1の実施は終了し、データ解析も終了した、現在、研究2を進めている。 研究1;FGRモデルマウスにおけるmTORC1シグナリング経路活性の低下 研究2;PDE5阻害薬を投与したFGRモデルマウスのmTORC1シグナリング経路活性
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Strategy for Future Research Activity |
PDE5阻害薬を投与したFGRモデルマウスのmTORC1シグナリング経路活性を進める予定である。具体的には、ダラフィル(その他のPDE5阻害薬であるシルデナフィル、バルデナフィルでも実施)を投与し、胎仔の各組織(胎盤、肺、脳、腎臓、肝臓)の血管の評価を中心とした組織学的な検証をおこなう。また、胎盤のmTORC1シグナリング経路の活性化を評価する。
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Causes of Carryover |
概算より費用を抑えることが可能であったため。次年度に行う追加実験に使用する予定である。
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