2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胎盤栄養膜細胞における酸化ストレス負荷によるメタボローム解析
Project/Area Number |
19K18646
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
井上 尚実 大分大学, 医学部, 助教 (90839234)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 胎盤 / 栄養膜細胞 / 低酸素 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧症候群は重症度の差はあるが高頻度に認められる産科合併症である。妊娠高血圧症候群の発症には種々の要因が関わっているが、その病態は胎盤虚血による低酸素、低栄養が影響していると考えられている。胎盤虚血に伴い胎盤から母体血中に放出されている因子および母体の生態への影響について、母体血清や羊水、各細胞株を用いた研究は多くなされているが、胎盤絨毛組織自体についての評価は少ない。この研究はヒト胎盤絨毛を構成する栄養膜細胞を用いて種々の手法により作成した胎盤虚血モデルにおいて代謝産物の網羅的解析を行う。さらに虚血に陥った栄養膜細胞ではどのような代謝経路の変化が起こっているのかを明らかにするとで病態の更なる解明を目的としている。 虚血に陥った胎盤絨毛組織では低酸素、低栄養というストレスによち細胞の老化が起こっていると推測し、まず合併症のないヒト胎盤絨毛組織より分離・培養した合胞体性栄養膜細胞に低酸素環境を用いて酸化ストレスを負荷した。ウエスタンブロット法にて低酸素誘導性因子hypoxia-inducible factor(HIF)1αおよび低酸素により発現誘導されるN-myc downstream-regulated gene 1(NDRG1)の出現を確認し、低酸素負荷がかかっていることを確認した。低酸素環境下で栄養膜細胞を培養し、低酸素負荷時間ごとに細胞を採取し、ガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて一次代謝産物の測定を行った。測定結果について、多変量解析を行い、代謝経路の変化について解析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画書に基づいて研究を進めており、低酸素負荷によるサンプルの採取、ガスクロマトグラフィー分析、多変量解析を行った。また、ウエスタンブロット法による実験も進んでいる。この結果により研究の目的である妊娠高血圧症候群の病態解明につながると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ウエスタンブロット法による実験、解析を加え、結果について論文作成し報告する。
|
Causes of Carryover |
研究をすすめるために購入した物品が当該年度は少なかったが、次年度はさらに追加実験を行うため物品購入、論文作成を計画している。
|