2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞シートを用いた子宮内膜組織の三次元構築と受精卵着床・浸潤解明に関する研究
Project/Area Number |
19K18654
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 崇 東京女子医科大学, 医学部, 医療練士研修生 (70837210)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮内膜細胞シート / 受精卵 / 着床 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖補助医療による出産数は、近年増加傾向にあるが、良好な受精卵を移植しても一定の確率で受精卵が子宮内膜に着床しないことが問題となっている。そのため、子宮内膜と受精卵との相互作用を明らかにすることが課題である。細胞シート工学は、細胞シートを積層させ厚みのある組織を作製可能な技術である。本研究では子宮内膜・受精卵の相互作用解明のための実験系の作成を目的とする。3週齢SDラットの子宮内膜細胞より子宮内膜上皮、間質細胞シートを回収し積層化することによって正常子宮内膜様の三次元組織を構築、その積層化した子宮内膜細胞シートに受精卵をのせることで、着床の経時的変化の観察できる可能性がある。また、着床した受精卵を含んだ子宮内膜細胞シートをラットの子宮に戻すことで妊娠が成立すれば、着床までの操作を体外で行えるモデル作製の第一歩と言える。生殖補助医療は、様々な不妊症の原因に対応するための様々な技術が開発されてきた。その方法として排卵誘発法や受精卵培養法が年々改善されているが、繰り返し体外受精等を行っても妊娠しない反復不成功が問題となっている。その原因は種々考えられるが、一つの原因として良好胚を移植しても着床しない着床障害が問題となっている。受精卵と子宮内膜の関係性に関しての基礎的研究は未だ不十分であり、着床のメカニズムはいまだ明確になっておらず、着床率向上のためにも子宮内膜と胚との相互作用を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3週齢SDラットの子宮内膜細胞より子宮内膜上皮、間質細胞シートを回収し積層化することによって正常子宮内膜様の三次元組織を構築した。受精卵の移植用にこれを安定的に保持するため、接着用足場の作成を行った。コラーゲンとフィブリンを等量で使用して足場を作成したところ細胞シートは安定して接着した。次に同種ラットの受精卵作成の検討を行ったところ、胚盤胞までの成長を確認した。作成した三次元子宮内膜組織に対して胚盤胞をのせた。受精卵をGATA3=赤、細胞シートをアクチン=緑で染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、下図のような細胞シートの組織で囲まれた受精卵が観察された。このことから子宮内膜3次元組織に対して受精卵が浸潤していることが観察された。 今回の結果からラット受精卵の直径は70μmであり、三次元子宮内膜組織は約50μmではあるため、少なくとも初期段階の浸潤の観察はできる可能性がある。 GATA3とアクチン陽性部位の関係性から、今回の結果は初期の浸潤過程を模倣している可能性が考えられた。この実験系を用いて初期の浸潤過程での受精卵・上 皮・間質組織の関係性を解明できる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞シートを積層化して構築した三次元子宮内膜組織に対して受精卵が浸潤することを確認した。今後は染色方法や観察方法を検討しながら受精卵と子宮内膜の 関係性を経時的に観察していく予定である。
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Causes of Carryover |
細胞シートを積層化して構築した三次元子宮内膜組織に対して受精卵が浸潤することを確認した。今後は染色方法や観察方法を検討しながら受精卵と子宮内膜の関係性を経時的に観察していく予定である。
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