2020 Fiscal Year Annual Research Report
円錐切除術時に発生するsurgical smokeに含まれるHPVに関する研究
Project/Area Number |
19K18655
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
久松 洋司 関西医科大学, 医学部, 講師 (20465644)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | HPV / サージカルスモーク / 円錐切除術 |
Outline of Annual Research Achievements |
サージカルスモークに含まれるウイルスの感染性に関しては医療従事者の産業衛生の分野で懸念はされていたが、特に2020年以降新型コロナウイルスのパンデミックにより、医療従事者内での認知が進んできた印象である。HPV感染により子宮頸部異形成は発生し、その病変を術者の顔面近くで操作する円錐切除術ではスモークの曝露のリスクが高い。HPVの存在証明は先行研究で行われていたが、今回は確率はできなかったものの存在のみならず感染性に着目し研究を行った。当科で施行した子宮頸部異形成に対する円錐切除術で発生したサージカルスモーク(SS)中にHPV-DNAの存在が示された。また、術者の気道へのSSの曝露を推測するため、SSをサージカルマスクで濾過した気体の評価も行い、HPV-DNAの存在が示された。この結果は現時点では先行研究で発表されていない結果であった。SS中のHPVの存在は証明できたが、先行研究でも感染能について証明はされておらず、そこでヒト皮膚角化細胞HaCaT細胞に様々な処理を施した検体を暴露させ、HPV E1^4領域の発現について調べた。しかし、SSに含まれるウイルスは微量であり、ウイルスの活性を調べるには感度が低く感染アッセイの確立は困難であった。以上のことから、特に海外で注目されて先行研究が存在するこのテーマにおいて、新規性を与えることは不可能と判断して研究活動を一時停止している。一方で、前述のウイルスDNAの定量の為に、HPV 16/18/52/58型のE6領域+ human β-globinをクローニングしたDNAスタンダードを作成した。当科で取り組んでいる別プロジェクトである、子宮頸部異形成に対する光線力学的療法における治療効果の評価項目これらを応用することを考えている。
|