2020 Fiscal Year Annual Research Report
血漿Cell free DNA同定による卵巣癌新規リキッドバイオプシー法の確立
Project/Area Number |
19K18670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉村 明彦 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10823528)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | cfDNA / 卵巣癌 / PIK3CA / Digital PCR / liquid biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は予後不良な卵巣がんの早期発見を目指し、新規バイオマーカーとして、血中に微量に存在する卵巣癌由来のcell free DNA (cfDNA) を最新のDigital PCR 技術を用いて同定することである。令和2年度は子宮内膜症関連がんに焦点をあてた研究を行った。現在で当院にて卵巣がんで加療を行った27症例の治療前の子宮内膜症関連がん(明細胞がん16例、類内膜腺がん11例)患者と良性の子宮内膜症性嚢胞を有する51例より、治療前の血漿および手術時の組織切片を回収した。その上で、組織よりDNAを、患者血漿よりcfDNA を抽出し、組織中のPIK3CA変異を次世代シークエンス法およびDigital PCR法で検証し、血漿中のPIKCA変異はDigital PCR法で検討した。 17例の明細胞がんのうち、組織中のPIK3CAのH1047R変異は6例(35%)で同定でき、10例の類内膜腺がんのうち、組織中のPIK3CAのH1047R例変異は4例(40%)で同定できた。一方で、血漿中においては、明細胞がん6例中4例(67%)、類内膜腺がん4例中3例(75%)でH1047R変異を同定することができた。一方で51例の良性子宮内膜症組織では4例(8%)にH1047R変異を認めたが、血漿中では1例も変異を認めなかった。 従って、子宮内膜症および関連がん患者におけるDigital PCR 法による血漿中のPIK3CAの H1047R変異同定は、感度こそ27%と低かったが、特異度は75%と高く、陽性適中率は100%であった。さらなる変異のHot spotを組み合わせることにより、感度の向上は可能であり、Digital PCR 法による血漿中のPIK3CA変異同定は卵巣がん診療における新たなLiquid Biopsy法として有用である可能性が示唆された。
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