2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病妊婦の個人の代謝に合わせた、合併症を抑制するテーラーメイド栄養管理の開発
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19K18673
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
衛藤 英理子 岡山大学, 大学病院, 助教 (70796143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖代謝異常妊婦 / テーラーメイド栄養管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の妊婦栄養管理は妊婦一律であるため、栄養の過少や過多を招き、糖代謝異常妊婦の重篤な周産期合併症を抑制できていない。そこで本研究は間接熱量測定を用いて、糖代謝異常・正常妊婦の安静時代謝量を実測して解明すると共に、患者個人の代謝量を基に、個人の代謝に合ったテーラーメイド栄養管理を開発することを目的とした。申請者はすでに岡山大学病院において、わが国初の妊産婦代謝量データベースPREMEを創始し、これまでに正常妊婦100例、糖代謝異常妊婦44例の測定を終えていた。令和元年度は、この後ろ向き症例数をそれぞれ150例、50例に増やした。 研究①糖代謝正常妊婦の個人テーラーメイド栄養管理の開発 間接熱量計により糖代謝正常である健康妊婦の安静時代謝量を個々に測定し、それを基盤とした健康妊婦個々の新エネルギー管理量を開発中である。安静時代謝量は基礎代謝量の1.2倍、基礎代謝量は1日総エネルギー必要量の60%なので、安静時代謝量=基礎代謝量×1.2=総エネルギー必要量×0.6×1.2=総エネルギー必要量×0.72と換算された。よって総エネルギー必要量≒安静時代謝量×1.4となり、健康妊婦の新エネルギー管理量(kcal/day)=妊婦個人の安静時代謝量実測値×140%と設定した。後ろ向き臨床研究を追加して新エネルギー管理を開発途中である。 研究②糖代謝異常妊婦のテーラーメイド栄養管理の開発 妊娠と糖尿病の両因子が関与する糖代謝異常妊婦では、本研究①の健康妊婦新エネルギー管理量に更に補正を加える必要がある。申請者はPREMEデータベース糖代謝異常(DM)妊婦44例の解析の結果、安静時代謝量が多いほど周産期合併症の頻度が高いことを発見し、DM妊婦に適したエネルギー管理量を計算するために、DM補正係数を0.824と暫定的に求めた。後ろ向き臨床研究の追加例から、このDM補正係数の最適化を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妊産婦代謝量データベースPREMEの症例蓄積において、令和元年度は150例追加を目標としていたが、50例追加にとどまった。研究エフォートの減少、糖代謝異常妊婦の周産期管理を児施設で妊娠初期から産後まで行い得た症例の減少が理由として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者に協力を仰ぐとともに、後ろ向き研究のデータベースにおける症例数設定を変更し、現在までのデータで健康妊婦のエネルギー管理量を検討する。糖代謝異常妊婦の周産期管理を当院で行うよう働きかける。令和2年度は前向き研究にも取り組む。
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Causes of Carryover |
研究計画に比してやや遅れたため、必要と思われた器機の使用に至らなかった。翌年度は研究進度を促進し、購入予定の器機を用いた研究を施行したい。
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