2019 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜間質細胞の分化異常に着目した子宮内膜症病態メカニズムの網羅的解析
Project/Area Number |
19K18682
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮崎 薫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (90445370)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 子宮内膜 / 子宮内膜症 / 転写因子 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
#1. ヒト正常子宮内膜間質細胞と子宮内膜症間質細胞を分離し、それぞれ3検体ずつについてRNA-seqを行ってtranscriptomeを比較し、両者間で有意に発現量の異なる遺伝子(Differentially expressed genes, DEG)を同定した。 #2. ヒトiPS細胞から子宮内膜間質細胞を分化させる時に生じる遺伝子プロファイルの変化(Miyazaki K, Stem Cell Reports. 2018)と上記DEGを比較し、共通のDEGを同定した。 #3. これらのDEGから、正常子宮内膜間質細胞にて高発現する転写因子群をOSIS-suppressor TFs、子宮内膜症間質細胞にて高発現する転写因子群をOSIS-genic TFsと定義する。ヒト正常子宮内膜間質細胞と子宮内膜症間質細胞の間でこれら転写因子群の発現量が有意に異なることをqPCRにて再確認した。 #4. 正常子宮内膜間質細胞においては、gata2遺伝子が脱落膜化に関与する遺伝子群を制御しており、子宮内膜症間質細胞においてはgata2遺伝子がメチル化され発現が低下していることが知られている(Dyson MT, PLoS Genet. 2014)。正常子宮内膜間質細胞にてgata2遺伝子をノックダウンしたところ、先述のOSIS-suppressor TFsの発現が低下し、OSIS-genic TFsの発現が上昇した。gata2遺伝子によって、これらOSIS-suppressor TFsおよびOSIS-genic TFsの発現が調節されている可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト検体の確保が困難であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
#正常子宮内膜間質細胞において、上記OSIS-suppressor TFsをノックダウンし、ESR1やPGRといったホルモン受容体の発現、およびホルモン刺激に対する反応の変化を観察する。また、子宮内膜症間質細胞において、上記OSIS-genic TFsをノックダウンし、ESR1やPGRといったホルモン受容体の発現、およびホルモン刺激に対する反応の変化を観察する。 #上記で有意な変化が認められた転写因子について、クロマチン免疫沈降シーケンス(ChIP-seq)を行うことで、該当する転写因子の結合領域およびヒストン修飾の全ゲノム解析を行う。
|
Causes of Carryover |
引き続き物品費、旅費、人件費が必要と考えられたため。
|