2021 Fiscal Year Research-status Report
ニコチンアミド(水溶性ビタミン)を用いた妊娠高血圧腎症に対する新規治療法の開発
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19K18687
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
只川 真理 東北大学, 大学病院, 助教 (10836547)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 妊娠高血圧腎症 / ニコチン酸アミド |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧腎症(Pre-eclampsia: PE)は、全妊娠の2-8%に合併する原因不明の疾患であり、低出生体重児、脳性麻痺、子宮内胎児死亡など母児の重篤な合併症の主要因として重要である。本疾患は心血管合併症を惹起し、WHOによれば世界で年間6 万人以上を死に至らしめている。現段階では、PE 患者の病態を改善する根本的な治療法はない。我々はこれまで、複数のPE 動物実験モデルにおいて、水溶性ビタミンB3のアミド体であるニコチンアミド (Nicotinamide: Nam)が高血圧・蛋白尿・血管内皮障(endotheliosis)改善、妊娠期間延長、胎児発育不全改善をもたらすことを明らかにしてきた(PNAS2016)。 本研究では、ニコチンアミドのPE 患者での安全性・有効性を臨床試験にて評価し、母体血液・尿の高精度メタボローム解析にて薬効機序を解析することを目的としている。本研究では、PEと診断された患者から文書による同意を得た後に、投与前の検査を行い、Nam 400 mg/dayとして1回200mgを朝食後、夕食後の2回、分娩まで経口投与する。投与予定患者数は6名とする。本臨床試験における最終的なエンドポイントは、妊娠期間延長・母児の予後改善であるが、有効性の評価項目としては、蛋白尿の減少・胎児発育の増加・母児合併症の減少が考えられる。本探索試験の結果により、今後の第I-III相試験のための主要評価項目、副次的評価項目を確定する。 2021年度は、東北大学臨床研究推進センターとの協力体制を構築した。施設内における薬剤処方、検査提出、症例記録などの具体的なマニュアルのブラッシュアップを進めると共に、研究に参画する協力医師を中心とした研究推進体制を再構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症に伴い、関連病院からの症例紹介が滞り、さらに病棟医師スタッフが十分に確保できず、追加の症例登録が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年同様、新型コロナウィルス感染症による産科病床ひっ迫が改善されない限り、本研究の登録推進は非常に困難であるが、病床の状態などを総合的に鑑みて、研究推進方法を引き続き模索してゆく。
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Causes of Carryover |
先に述べた通り、2021年度は新型コロナウィルス感染症による病床ひっ迫、十分なスタッフの確保が困難となり、対象症例登録が極めて困難であった。使用を予定していたニコチンアミド血中濃度測定等の費用は、再度、上記理由によって次年度使用となった。
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