2021 Fiscal Year Annual Research Report
栄養膜細胞の分化に伴う機能変化と妊娠高血圧腎症の発症に関する検討
Project/Area Number |
19K18689
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 達也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00838500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低酸素 / 妊娠高血圧腎症 / HIF / スタチン |
Outline of Annual Research Achievements |
スタチン製剤 (HMG-CoA還元酵素阻害薬) は血管内皮細胞に作用し、HIF-1α発現亢進を介してVEGF産生を亢進させることが知られており、血管新生因子の新たな制御物質の一つとして注目されている。妊娠高血圧症候群は血管新生因子の発現異常に伴う重篤な周産期合併症であるが、その根本的な治療法は分娩しかない状況である。我々はスタチン製剤の絨毛細胞における血管新生因子の制御機構に着目したさらなる研究を行った。本研究では、脂溶性のスタンダードスタチンであるシンバスタチンに注目した。まず、血管内皮細胞に対する効果を確認するため、HUVECsにシンバスタチンを投与したところ上清中のPlGF濃度上昇、PlGF mRNAの発現亢進を認めた。また胎盤由来のprimary trophoblast細胞を用いた細胞実験を行った。妊娠後期由来のcytotrophobalstを48時間培養しsyntitiotrophoblastに分化させた後にsimvastatinと共に24時間培養したところ、2%酸素下ではPlGFの濃度に変化は見られなかったものの、sFLT-1の発現が低下している傾向がみられた。一方で8%酸素下では上清中のsFlt-1濃度に変化は見られなかった。一方、mRNAでは PlGFmRNA 及びVEGFmRNAの発現の上昇を認めた。上記結果より、シンバスタチン投与によりprimary trophoblast細胞においても低酸素下でPlGFやVEGF産生が亢進し、上清中のsFLt-1濃度の低下が見られたと考えられる。
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