2019 Fiscal Year Research-status Report
Immunological differece between pregnancy and cancer in terms of T cell receptor repertoire.
Project/Area Number |
19K18690
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
津田 さやか 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞障害性T細胞 / T細胞受容体レパートリー / 流産 / 妊娠高血圧腎症 / 子宮体癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮ならびに末梢血における制御性T細胞(Treg)ならびに細胞障害性T細胞(CTL)のT細胞受容体(TCR)レパートリー(TCRのバリエーション)の、妊娠と悪性腫瘍(子宮体癌)での相違点を明らかにし、免疫学的治療につなげることを目的とした。妊娠においては、妊娠初期の異常である流産ではTregの数的減少が、妊娠後期の異常である妊娠高血圧腎症では抗原特異的Tregの低下が発症に関与していることをすでに報告した。今回、妊娠におけるCTLでの解析では、流産症例の子宮において細胞障害性の高いeffector memory CTLのクローナルな増加が認められた。すなわち、CTLが胎児抗原特異的に細胞障害性を発揮していることが示唆された。一方、妊娠高血圧症候群の子宮ではクローナルに増加したeffector memory CTLのPD-1発現率が正常妊娠と比し有意に低下していた。胎児抗原特異的CTLに対し、PD-1/PD-L1経路による免疫抑制が働かなくなった結果、胎児拒絶が生じていると考えられる。また、末梢血CTLにも子宮と共通するクローンの出現が確認されたが、妊娠合併症症例と正常妊娠では有意な差は見られなかった。子宮局所での胎児抗原特異的CTLの抑制が妊娠合併症の治療につながる可能性が示唆された。 一方、子宮体癌症例と非悪性腫瘍で子宮摘出を行った症例を比較すると、前者で末梢血・腫瘍(子宮)ともにCTLのクローナリティーが有意に増加していた。また、末梢血と腫瘍で共通するクローンの出現が見られた。妊娠と異なり、悪性腫瘍では腫瘍局所のCTLレパートリーが末梢血のCTLレパートリーに反映されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子宮体癌ならびに妊娠症例での細胞障害性T細胞TCRレパートリーの解析が終了した。子宮体癌症例でのTregのTCRレパートリー解析はまだ施行できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
クローナルに増殖したCTLの抗原特異性を確認するため、TCRを遺伝子導入した末梢血T細胞と、cell line (絨毛細胞由来)ならびに臍帯血を混合培養し、抗原特異的反応の有無を確認する。子宮体癌においても同様に、ターゲットをcell lineと混合培養し抗原特異的反応を確認する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染流行の影響で予定していた学会が中止となり旅費を要さなかったため。また、同じ理由でT細胞の機能的解析の実験の準備に遅延が生じたため。
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