2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of pathological improvement mechanism by tadalafil administration in placental dysfunction
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19K18694
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
真木 晋太郎 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90794371)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FGR / タダラフィル / 超音波ドプラ / 胎盤機能不全 / PDE5阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では胎児発育不全(Fetal Growth Restriction: FGR)およびHDP(Hypertensive Disorders of pregnancy)における、胎児胎盤循環の改善を目的としたホ スホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬であるタダラフィルの投与による効果発現機序の解明を目標としている。 FGRにおいて、PDE5阻害薬の経母体投与を行った胎児の超音波ドプラデータより、タダラフィルによる胎児の血行動態への影響を検討した。対象は20週以降34週未満のFGR(胎児推定体重<-1.5 SD)と診断された単胎症例で、従来型治療群45例と、従来型治療に加えて分娩までタダラフィルの投与を行うタダラフィル治療群44例、合計89症例を検討した。臍帯動脈、中大脳動脈、子宮動脈のPIの、治療開始から1週間の変化をウィルコクソンの符号付き順位検定を中心に解析を行った。さらにEarly-onsetである登録時に32週未満であった症例、および治療開始時に胎児推定体重が-2.0SD以下であった症例を抽出し、副次的に解析した。臍帯動脈PIは治療開始時および治療開始から1週間後では減少する傾向はあったものの、有意な差を認めなかった(p=0.10)。同様に、32週未満の症例では臍帯動脈PIで減少傾向を認めたものの、有意な差を認めなかったが(p=0.052)、1週後にPIが減少した症例数をタダラフィル治療群および従来型治療群で比較すると、タダラフィル治療群で有意に多かった(72% vs 31%, p=0.005)。また胎児推定体重が-2.0SD以下の症例では、臍帯動脈PIは、治療開始1週間後有意に減少していた(中央値1.11 vs 0.98, p=0.0027)。 FGRに対するタダラフィルの経母体投与による血行動態の改善から、臍帯動脈の血管抵抗が低下する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では研究1;FGRモデルマウスにおけるタダラフィル内服前後の、angiogenic factorであるsFlt-1、sEng、PlGFの変化を追跡すること、および研究2;FGR およびHDP症例における、タダラフィル内服前後の子宮動脈の血流量変化を、超音波ドプラ法による計測で明らかにすることを目標とした。 タダラフィル内服前後の子宮動脈血流量については有意なデータを得ることができていない。これは子宮動脈の超音波検査による描出が症例によっては困難であるため、症例数がかぎられてしまうことも一因である。しかし胎児胎盤循環の改善を示唆する臍帯動脈PIのタダラフィルによる低下は示唆されたため、今後の基礎的な知見の確立が期待される。 FGRの原因である胎盤機能不全における主要な血清マーカーであるsFlt-1やPlGFなどのの推移などの検討について、Angiogenic Factorに関しては、タダラフィルによるPlGFの上昇が示唆される結果をヒトでの研究で得ている。しかしマウスモデルでの検討は未だ行っておらず、臨床データの蓄積にとどまっている。 いずれもマンパワーおよび研究時間の関係で行うことができていないため、今後も研究を継続していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では研究1;FGRモデルマウスにおけるタダラフィル内服前後の、angiogenic factorであるsFlt-1、sEng、PlGFの変化を追跡すること、および研究2;FGR およびHDP症例における、タダラフィル内服前後の子宮動脈の血流量変化を、超音波ドプラ法による計測で明らかにすることを目標としている。 ①タダラフィルによるsFlt-1およびPlGFなどのangiogenic factorの変化を、データを蓄積し評価を行っていく。マウスモデルを作成し、基礎データを評価する。 ②超音波さらにデータを蓄積し、子宮動脈血流量の評価を中心に超音波ドプラ法による胎児および母体の血行動態の評価を、より詳細に評価していくことを今後の方策とする。臍帯動脈のPIなどの結果はタダラフィルによる胎盤機能の改善を示唆する非常に興味深いものであり、今後さらにデータを集め、詳細に評価していくことがタダラフィルの効果発現機序の解明につながっていくと考えられる。
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Causes of Carryover |
(理由)PlGF、sFlt-1などAngiogenic Factorの検討を動物実験で行うことができておらず、当初の計画通りに進んでいないため。 (使用計画)予定していた動物実験に使用していく予定である。
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Research Products
(4 results)