2021 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝異常によって誘導されるPKCβ活性化の妊娠高血圧腎症発症と増悪における意義
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19K18697
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
光井 崇 岡山大学, 大学病院, 助教 (60769008)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病合併妊娠 / 妊娠高血圧腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病モデルマウス(KK/TaJcl)の妊娠を成立させ、血圧測定、タンパク尿検査などの妊娠高血圧腎症への進行度をモニタリングし、母体胎盤の血管増生について病理解析を行った。胎盤の低酸素化はHIF-1αの誘導性を評価し、血管新生因子や抗血管新生因子であるsFlt-1、PlGFについては胎盤側は定量的PCR法、血中のものはELISA測定を行い評価を行った。PKCβの活性化状態においても胎盤組織について行い、活性化に必須なリン酸化体を認識する抗体を用いて組織染色(活性化の頻度や分布状態)およびELISA測定を行いデータ化した。さらに、PKCβ阻害剤を糖尿病合併妊娠モデルマウスに投与し、その変化を検討した。 実験の結果、コントロールマウス群に比較し、糖尿病合併妊娠モデルマウスでは、胎盤におけるPKCβの活性化の有意な増加を認め、胎盤および母体血中において抗血管新生因子であるsFlt-1が有意に上昇していた。また、PKCβ阻害剤を投与することによりこれらの変化を抑制することが可能であった。 これらの結果から、糖尿病合併妊娠モデルマウスの胎盤において、[PKCβ]-[sFlt-1]-[妊娠高血圧腎症の病態の発症と増悪]をつなぐ分子経路の存在の可能性が示唆され、さらには、糖尿病合併妊娠モデルマウスにPKCβ阻害剤を投与することにより、この経路を遮断することが可能であった。 これらの研究データは第29回日本胎盤学会学術集会、第37回日本糖尿病・妊娠学会年次学術集会で発表を行った。また、本研究の成果はMedical Science Digestに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病合併妊娠モデルマウスにPKCβ阻害剤を投与することにより[PKCβ]-[sFlt-1]の分子経路を遮断することが可能であったため、今後、妊娠高血圧腎症の病態の発症と増悪を予防、改善することに重点をおいて研究を進めていく。妊娠高血圧腎症の病態の発症と増悪を予防、改善するために、PKCβ阻害剤の最適な投与時期や投与量など検討していく。また、これまでの研究成果を第74回日本産科婦人科学会学術講演会で発表する予定である。
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Research Products
(3 results)