2019 Fiscal Year Research-status Report
不育症の原因究明にむけた流産絨毛・脱落膜のエピゲノム解析
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19K18701
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
松本 洋介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90791294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不育症 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
不育症は流死産を反復して生児が得られないという臨床上よく遭遇する疾患であり、頻度は4.2%である。少子化が進む現代において、流産の原因究明とその予防は喫緊の課題である。申請者らはこれまで原因不明とされた不育症患者の41%に胎児染色体異常があり、真の原因不明は25%であることを世界で初めて報告した。本研究の目的は、現在真の原因不明とされる25%の胎児染色体正常不育症について、エピジェネティック異常がどれだけ影響を及ぼしているかを明らかにし、不育症の原因究明と不育症患者の妊娠予後の改善に寄与することである。 2019年度においては、流産群と中絶コントロール群において、それぞれ5例ずつの流産絨毛、脱落膜を用いた網羅的DNAメチル化解析を行った。結果は絨毛において、メチル化プロファイルが流産群と中絶コントロール群で異なっていたが、脱落膜においては明らかな差を認めなかった。このことから、原因不明不育症患者の流産は、母体側の要因ではなく、胚側の要因で流産が起こっていることが推測される。 流産群と中絶コントロール群でメチル化率の特に大きく異なる遺伝子をメチル化異常流産の候補遺伝子として抽出した。流産群と中絶群の多数検体において、パイロシークエンス法にて実際に複数の遺伝子にメチル化異常が存在することがわかった。 2020年度はmRNAを抽出してマイクロアレイでの発現解析、またリアルタイムPCRを用いて実際の遺伝子の発現解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網羅的エピゲノム解析から同定した候補遺伝子について、パイロシークエンス法を用いた個別のDNAメチル化解析については概ね計画通り進捗しており、実際に流産群と中絶群でメチル化異常がvalidateされたものも見つかっている。 マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析については、今年度中に施行する予定であったが現在進捗が送れているため、今年度に計画していく。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的遺伝子発現解析とメチル化解析の結果が整合しない場合は、解析方法を再検討する必要がある。 流産時は体内で日が経つことによりRNAの変性リスクが存在すると考えられるため、免疫染色によりタンパク質の発現解析で代用することも考慮している。
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Causes of Carryover |
今年度に計画をしていたマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析が遅れているため予算に余りが生じたが、次年度に実験を行う計画であり、その際に繰り越した予算を使用する予定である。
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