2021 Fiscal Year Research-status Report
不育症の原因究明にむけた流産絨毛・脱落膜のエピゲノム解析
Project/Area Number |
19K18701
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
松本 洋介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90791294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 習慣流産 / 絨毛 / 脱落膜 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】習慣流産の約25%の症例では種々の精査を行っても未だ原因が不明のままである。主にDNAメチル化によって制御されるエピジェネティックな転写調節機構は、様々な妊娠ステージにおける胚と胎児の発達に重要なメカニズムであることから、習慣流産をエピジェネティクスな要因で説明できるかを検証するために、網羅的DNAメチル化解析を行った。また、習慣流産が母体側もしくは胎児(胚)側の要因かどうかも検証するため、絨毛と脱落膜を同時に解析した。 【方法】習慣流産(RM)患者(n=5)の子宮内容除去術施行時に絨毛と脱落膜を採取し、人工妊娠中絶(AA)患者(n=5)をコントロールとして、網羅的DNAメチル化解析を行った。同定されたRM群とAA群でメチル化の異なる遺伝子を、多数検体(n=19)においてパイロシークエンス法で検証し、免疫染色で蛋白質の発現を解析した。 【結果】RM群とAA群において、絨毛では9073遺伝子、脱落膜では4412遺伝子のDNAメチル化に差が存在し、階層型クラスター解析では、脱落膜ではなく絨毛においてDNAメチル化プロファイルが両群で異なっていた。パイロシークエンス解析により、SPATS2L, MAST4, EXOC6Bのエンハンサー領域のメチル化がRM群で亢進していた。免疫染色では、RM群の絨毛の細胞性栄養膜細胞において、SPATS2Lの発現が著明に低下していた。 【結論】脱落膜ではなく絨毛において、RM群とAA群でメチル化プロファイルが異なることが明らかになった。DNAメチル化の変化が、胎児(胚)の発育に影響を及ぼし、習慣流産を説明する一つの因子となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響で研究期間の延長を申請したが、現在までの結果を基に論文を作成、投稿し、現在reviseを待つ状況である。今年度中にacceptを目指して概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在論文投稿中であり、reviseで指摘された内容を中心に追加実験を行う可能性がある。 acceptとなれば、今回の研究計画は完了する見込み。
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Causes of Carryover |
今年度に使用した消耗品の経費は想定より少なかった。次年度には学会発表や論文投稿のための費用がかかる見込みである。
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