2020 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症におけるリンパ管新生を制御するVEGFR1シグナルの役割
Project/Area Number |
19K18704
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
関口 和企 北里大学, 医学部, 助教 (90458810)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / リンパ管 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症の原因には骨盤内の炎症、局所の免疫異常やエストロゲン産生などが示唆されるが、十分には理解されていない。子宮内膜症は異所性に内膜組織が増殖するため、血管新生だけでなくリンパ管新生が寄与する可能性がある。本研究では子宮内膜症進展にリンパ管新生が関与しているかどうか、またその制御機構をマウス異所性子宮内膜症モデルで調べた。血管内皮増殖因子(VEGF)ファミリーであるリンパ管新生因子(VEGF-C, VEGF-D)の受容体、リンパ管内皮受容体VEGFR3を阻害薬投与によりブロックすると、子宮内膜移植片組織内のリンパ管密度やリンパ管新生因子(VEGF-C, VEGF-D)とともに移植片の成長も抑制された。また血管内皮増殖因子1型受容体(VEGFR1)チロシンキナーゼ欠損マウスを用いて検討すると、野生型マウスと比較してリンパ管密度、リンパ管占有面積、リンパ管新生因子(VEGF-C, VEGF-D)、リンパ管内皮マーカー(VEGFR3, LYVE-1)などともに内膜移植片サイズも抑制された。リンパ管新生は子宮内膜移植片に集積するマクロファージや線維芽細胞がVEGFR1に依存して産生するリンパ管新生因子によるものと分かった。また、培養マクロファージや線維細胞を用いた培養実験でもVEGFR1に依存してリンパ管新生因子産生がみられた。本研究から子宮内膜症の進展にはVEGFR1を発現するマクロファージや線維芽細胞からリンパ管新生因子が産生されてリンパ管新生促進さようが関与することを明らかにすることができた。
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