2020 Fiscal Year Research-status Report
リンパ節郭清前後のリンパ管機能から考えるリンパ浮腫予防法の樹立
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19K18707
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
平山 貴士 順天堂大学, 医学部, 助教 (20816962)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / インドシアニングリーン蛍光造影検査 / リンパ管蛍光造影検査 / リンパ管静脈吻合術 / 卵巣がん / 子宮頸がん / 子宮体がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、インドシアニングリーン(以下ICG)の術前皮下投与が保険適応外であることから特定臨床研究として行う必要があったが、COVID-19の流行に伴いCRBの開催が7月まで中止されていたため、8月になってCRBの審査を受け無事承認となった。 また、監査・モニタリング・データマネジメント方法に関して、研究の信頼性を担保するために外部の機関へ依頼し、その契約を済ませた。本研究の遂行に必要なICGを用いたリンパ管蛍光造影検査を行うJR東京総合病院及びベテル南新宿診療所の医師とともに検査方法や機器の設定を踏まえた研究環境の整備を行い、12月に無事1例目の検査を開始し、2021年3月末時点で12回の検査(5例)を実施した。 実際に症例登録を開始し、結果を解析してみると、驚いたことに症状は全く認めないが、術前にすでにリンパ浮腫を発症している患者がおり、さらに術後にはその症状が顕在化していた。また、術後一時的にリンパ浮腫を示唆するリンパ管蛍光造影の検査所見であった患者が3ヶ月の段階では改善していた。まだまだ症例検討レベルの話ではあるが、現在まで検査を行なってみて、リンパ管蛍光造影検査で有意な所見を認めても、本人の自覚症状を伴っていることが少ない印象にある。これはすなわち症状として顕在化した段階ではすでにリンパ浮腫として完成しきっており、そこからリンパ管静脈吻合術などの治療を開始してもすでに治療効果は減少してしまっている可能性があることを示唆させるものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行によるCRB開催の遅れに伴う特定臨床研究の認可が下りるまでに昨年度一年要したため、やや遅れている。症例の登録に関しては順調に進行しており月に2-3件の新規患者リクルートを行なっており、月に4-5件の検査を行なっている。症例登録開始後は比較的順調に進行していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では有害事象は認めておらず、研究継続が可能な段階であると判断している。引き続き予定症例である30例までリクルートを進め、今回見られている所見が有意なものなのか、そして術後9ヶ月という最終評価時点でのリンパ管造影検査の結果と自覚症状の相関に関して最終解析を行い、術後リンパ浮腫発症のリスクファクターの抽出を行う予定である。
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Causes of Carryover |
特定臨床研究の申請及びCOVID-19の流行によるCRB開催の遅れにより、研究費の使用がずれ込んでおり、当初本年度に予定されていた患者の検査費用の出費の大半が2021年度にかかる見通しである。 引き続き、予定症例数の残りである25例の本研究に同意いただけた患者の検査を行う予定である。これらの検査費用は研究費より支出予定であるため、2021年度には220万円の検査費用(1回あたり22,000円×全4回×25例)の計上を見越している。
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