2019 Fiscal Year Research-status Report

新規領域のPCRを用いた日本における発がん性ヒトパピローマウイルス感染の実態解明

Research Project

Project/Area Number	19K18712
Research Institution	Kanazawa Medical University
Principal Investigator	坂本人一金沢医科大学, 医学部, 助教 (00735350)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords	子宮頸癌 / HPV
Outline of Annual Research Achievements	子宮頸癌はヒトパピローマウイルス（以下HPV）の長期感染の結果、前がん病変を経て発症することがわかっている。しかしながら、HPV型は複数存在しており、国や地域によって癌の原因になりやすいHPV型の分布は異なる。現在、HPVワクチンとHPVスクリーニングテストによって多くの子宮頸癌が予防できると考えられている。どのHPV型をワクチンやHPVテストのターゲットにするかどうかは、とても重要な問題である。我々は前研究で日本の子宮頸癌から単独感染として検出されたHPV型を解析してその分布を発表した。しかし、子宮頸癌の１割は複数のHPV型が検出される多重型HPV感染癌であり、また、同じく１割はHPVが検出されない癌であった。それらの癌の原因HPV型を明らかにするために、当年度は、それぞれの癌とそれ以外の組織を同定して、それぞれの組織からDNAを検出して、単独のHPV型を検出することに成功した。当初、レーザーマイクロダイゼクションを用いて、それぞれの組織を同定して採取する計画を立てていたが、先行論文を参考にすると、手動の組織採取でも問題なく組織検体を採取できることがわかったため、手動による組織採取を行った。その結果、多重型HPV感染と考えられた癌に感染していたHPV型はそれぞれ、別の組織に含まれており、それぞれの部位を構成する責任HPV型が明らかになった。また、HPV型陰性とされた癌の中に異なるアッセイでHPV型が陽性となる症例もあり、こちらは現在解析を続けているところである。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 組織を同定して、それぞれの組織を採取する方法を計画ではレーザーマイクロダイゼクションを用いて行う予定としていたが、手動による組織採取でも問題なく、対象組織のみを切り出すことができ、より早く、コストを抑えて実験を遂行できている。
Strategy for Future Research Activity	今回明らかになった発癌HPV型の解析結果をもとにこれまでに明らかになっていたデータに解析を加えてより正確な日本の子宮頸癌のHPV分布を明らかにさせる。
Causes of Carryover	今年度分の研究検体数まで届かず、研究試薬の購入が少なかったことと、研究データが整っていなかったため、国内学会や国際学会参加などがなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は研究試薬の購入とデータ発表のために国内・国際学会に参加する予定である。