2020 Fiscal Year Research-status Report
新規領域のPCRを用いた日本における発がん性ヒトパピローマウイルス感染の実態解明
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19K18712
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
坂本 人一 金沢医科大学, 医学部, 助教 (00735350)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HPV / 子宮頸癌 / 組織マクロダイゼクション |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸部感染することにより誘発される。HPVには癌を誘発するハイリスク型HPVと疣贅を誘発するローリスク型HPVに分類される。これまでの疫学調査では13タイプのハイリスクHPVが報告されているが、子宮頸部には単独ではなく複数のHPV型が多重感染していることも報告されている。一つのHPV型が一つの病変の原因になることはすでに報告されているため、発癌原因になるHPV型の実態を解明するためにはこれら多重型感染の実態を調査することが重要である。我々は、組織マクロダイゼクションを使い、癌とそれ以外の組織を個別に抽出して単独のHPV型を抽出する手法で多重型感染癌における真の発癌HPV型の同定を試みている。2020年度は、予定していたすべての症例のFFPEサンプルから癌組織DNAを抽出し、それぞれ単独のHPV型を同定することに成功した。また、そのデータを解析して新たな知見が得られたため、現在論文投稿をしている。本研究により、日本における多重型HPV感染癌の実態が明らかになることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験環境がよく、十分なデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験で一部の症例で多重型感染の中に検出されなかったHPV型が検出された。それら不一致例の原因として、HPVウイルスのインテグレーションの影響が否定できない。インテグレーションはHPVウイルスのE1,E2領域で生じることが多いため、それらの症例のL1,E1,E2領域の遺伝子の欠失がないか調べる必要がある。我々はそれらのプライマーを新たに作成して実験する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染の影響で学会などの出張がなくなったため旅費の支出がなく、未使用額が生じた。2021年度は追加実験のための試料・機材購入や、実験委託、論文の英文校正や投稿料として使用する見込み。
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