2022 Fiscal Year Research-status Report
新規領域のPCRを用いた日本における発がん性ヒトパピローマウイルス感染の実態解明
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19K18712
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
坂本 人一 金沢医科大学, 医学部, 助教 (00735350)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HPV / インテグレーション / 多重型HPV感染癌 / HPV陰性癌 / HPVタイピング |
Outline of Annual Research Achievements |
HPV陰性癌とHPV多重感染癌の実態調査のために、HPV陰性癌とされた16症例と多重型HPV感染癌の9症例、そしてコントロールとして単独型HPV感染癌の48症例をマクロダイゼクションと発癌に必須なE6/E7遺伝子領域をターゲットにしたプライマーを用いたPCR法で解析を行ってきた。その結果、すべての多重型感染の原因HPVを特定した。また、HPV陰性癌の約半数はHPVが陽性である偽陰性癌であることが明らかになった。さらに市販のHPV検査と我々が開発した新規アッセイ間で検査結果に不一致を認めた症例があった。それらの結果にHPVが宿主に取り込まれた際に遺伝子欠失を起こす影響を調べるために、HPV E1/E2/E6/L1遺伝子を増幅して調査した。その結果、乖離を認めた症例の多くでE1,E2遺伝子が部分あるいは全欠失があることが明らかになったが、L1遺伝子の欠損は認めなかった。E1/E2はウイルス取り込みの際に高頻度に欠失する領域であり、これらの症例ではHPV-DNAが高頻度にインテグレーションしている可能性が示唆された。一方で、L1遺伝子の欠損がなかったことから、結果の乖離の原因はアッセイ間のプライマーの問題ではないことが明らかとなった。インテグレート型HPVはエピソーマル型と比べてDNAのコピー数が少ないことがわかっており、乖離の原因としてはHPV検出アッセイの検出感度が関係していると考えられた。これらの結果をまとめて、当該年度ではPLOS ONEにDetermination of human papillomavirus type in archival tissue specimens of invasive cervical cancer using molecular mapping and E6/E7-based polymerase chain reaction として掲載された。https://doi.org/10.1371/journal.pone.0265996
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究内容を査読付き英文雑誌に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は国内外の学会に参加して研究内容を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍のため、国内外の学会に参加できなかった。そのため、予定していた旅費は必要なかった。次年度は国内外の学会に参加して研究成果を発表する際に使用する予定である。
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