2020 Fiscal Year Research-status Report
IL-12による好酸球性副鼻腔炎の病態制御機構の解明
Project/Area Number |
19K18718
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中薗 彬 北海道大学, 大学病院, 医員 (90581041)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / 鼻ポリープ / インターロイキン12 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではインターロイキン12(以下、IL-12)による好酸球性副鼻腔炎の病態制御機構解明を目的としている。好酸球性副鼻腔炎では鼻副鼻腔粘膜におけるタイトジャンクションの形成低下および、それに伴うバリア機能低下が発症メカニズムにおいて重要である。 IL-12のバリア機能への影響を確認するため、primary human nasal epithelial cell(以下、pHNEC)の気相―液相培養(air-liquid interference culture、以下ALI培養)を確立した。これによりALI培養された細胞における経上皮電気抵抗(transepithelial electrical resistance、以下TEER)を測定することによりバリア機能を評価可能となった。またALI培養し、TEER測定後のmembraneを免疫蛍光染色、共焦点型顕微鏡で解析することによりタイトジャンクションを構成するZO-1タンパク質の評価が可能となった。 健常例において鼻腔上皮をALI培養しpoly(I:C)刺激により低下するTEERを、リコンビナントIL-12投与により抑制可能かどうか刺激開始後の時間経過(0,3,6,12,24、36,48時間)に応じて解析した。poly(I:C)刺激群とpoly(I:C)刺激とリコンビナントIL-12の投与群で、全ての時間でTEERで有意差を認めなかった。また免疫蛍光染色においても蛍光強度の有意差を認めなかった。 今後は好酸球性副鼻腔炎および非好酸球性副鼻腔炎の症例を蓄積しタイトジャンクションおよびバリア機能への影響を評価し好酸球性副鼻腔炎の病態解明を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
pHNECからのALI培養およびそのTEER測定、membraneの免疫蛍光染色によりタイトジャンクション形成やバリア機能について評価可能となったが、COVID-19流行に伴う手術症例の減少により、症例集積に時間を要している。特に好酸球性副鼻腔炎および非好酸球性副鼻腔炎における症例の蓄積を要するため、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
好酸球性副鼻腔炎、非好酸球性副鼻腔炎、健常例の各ALI培養におけるTEER測定や、ALI培養したmembraneの免疫蛍光染色により、インターロイキン12のタイトジャンクションやバリア機能への影響を評価することにより好酸球性副鼻腔炎の病態解明を目指す。 現時点では健常例における解析が終了しつつあるので、好酸球性副鼻腔炎および非好酸球性副鼻腔炎の症例を健常例との比較解析を予定している。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会がCOVID-19の影響で中止になり、使用予定だった旅費・参加費が繰り越された。また、試薬や実験機器については教室で保管してあったものを使用できたため、その購入費用が抑えられた。 今後、細胞培養、タンパク質発現評価やmRNA評価のため、試薬類(培地、各種抗体やprimer等)の購入予定である。また延期となった学会が開催されるようであれば、旅費として使用予定である。
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