2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathophysiology of neurological olfactory disorders associated with eosinophilic chronic rhinosinusitis
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19K18723
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
籠谷 領二 帝京大学, 医学部, 助教 (90707762)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / 好塩基球 / TSLP |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通りのプロトコルでMC903(活性型ビタミンD3誘導体)と卵白アルブミン(OVA)を用いた好酸球性副鼻腔炎モデルマウスを作成し、鼻副鼻腔の組織学的解析、定量的RT-PCRによる呼吸上皮と嗅上皮の遺伝子発現解析、ELISAによるたん白質解析を行った。組織学的解析により、本モデルではコントロール群、OVAのみを使用した群(アレルギー性鼻炎モデルに相当する群)に比べて鼻粘膜の呼吸上皮下と嗅上皮下の両方において好酸球、好塩基球、マクロファージ、T細胞が多く浸潤していることを確認でき、また嗅上皮に関しては、好酸球性副鼻腔炎モデルにおいて、嗅上皮の菲薄化及び成熟嗅細胞(Olfactory marker protein陽性細胞)数の減少が見られ、本モデルにおいて鼻副鼻腔の好酸球性炎症が嗅覚系に影響を与えていることを示すことができた。定量的RT-PCRによる遺伝子発現解析とELISAによるたん白質解析では、本モデルの鼻腔組織でTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13)、好酸球誘導ケモカイン、好酸球性炎症のマスタースイッチであるTSLPの発現が増加していることを示すことができた。また嗅球の組織学的解析において本モデルでは嗅球ミクログリアが増加していることが確認された。本モデルは好酸球性副鼻腔炎の病態に関わると考えられるメカニズムの中でTSLP―好塩基球軸に焦点を当てた、これまでに無いモデルである。またマウスの鼻腔組織で好塩基球浸潤を示した報告も今までなされていない。さらに好酸球性副鼻腔炎に伴う嗅覚障害のメカニズムの中で、物理的閉塞による伝導性障害ではない化学的要因に関してはこれまでほとんど知られておらず、本モデルはこの要因の解明において重要な成果をもたらすと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画内容は本年度で概ね達成することができ、研究論文は下記のAllergy誌に採択された。 Kagoya R, Kondo K, Kishimoto-Urata M, Shimizu Y, Kikuta S, Yamasoba T.A murine model of eosinophilic chronic rhinosinusitis using the topical application of a vitamin D3 analog.Allergy. 2020 Oct 15. doi: 10.1111/all.14627. Online ahead of print.
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Strategy for Future Research Activity |
嗅球におけるサイトカイン変化の解析をRT-PCR及びELISAで行っていく。
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Causes of Carryover |
免疫組織化学染色やELISAにおいて、条件検討が複数回必要になると予想していたが、それよりもスムーズに実験を遂行し結果を得ることができた。一方、次年度に施行予定である嗅球の組織学的解析において当初はミクログリアのみを対象とする予定であったが、サイトカインのELISA解析も施行する予定としており、これに当該助成金を充てる予定でいる。
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Research Products
(2 results)