2019 Fiscal Year Research-status Report
LATS1キナーゼ欠損で起きる先天性難聴の原因および聴毛機能解析
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19K18744
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 崇経 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (90627168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | LATS1 / 難聴 / PCP |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度までの研究結果からLATS1 KOマウスは、体格の小型化および内外有毛細胞の配列不整や聴毛の異常を伴う先天性内耳性難聴を呈していた。内耳性難聴の原因としては、発生段階でのKinociliumの分布異常を呈しており、Planar Cell Polarity (PCP) の異常を疑う所見が得られた。本年度は、出生後の体重とABR閾値の時系列の追跡およびPCPと関連が疑われたGαiやPar3などへのLATS1 KOによる影響を研究した。 出生後の体重は出生早期から体格は小さく、その後6ヶ月齢までの成長でも体格の小ささは維持される結果であった。出生後のABR閾値は、正確な計測が可能となる4週齢から6ヶ月齢までにおいて、KOマウスは一貫して70dB程度の高度聴力障害を示し、野生型やヘテロマウスは正常な聴力から徐々に加齢性変化に伴う聴力障害を生じていた。このことから、LATS1 KOに伴う体格や聴力への影響は先天性非進行性の変化であることが確認された。 胎生マウスや新生マウスを用い、GαiとPar3をKOおよび同腹のマウスコルチ器の免疫染色を行い検討した。GαiとPar3共にKOマウスは野生型やヘテロマウスと同様の分布を示していた。このことからLATS1 KOはGαiやPar3とは異なった経路を介した内耳発生障害を起こしていると考えられ、前立腺における先行論文とは異なるメカニズムが、内耳には存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前立腺の先行論文では、細胞配列を決定づける段階でLATS1とGαi、Par3が共役しており、Par3が障害されることでLATS1とGαiの分布に異常を来たし細胞配列が乱れるというものであった。当初の予想では内耳においても同様の変化が起きており、それに伴い有毛細胞の配列異常が説明可能と考えていたが、内耳においては異なるメカニズムが示唆される結果となっており、内耳表現系を説明することが出来なかった。そのため、表現系を説明するためのLATS1 KOが影響を与えているメカニズムを再度探索する必要が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
PCPやKinociliumに何らかの影響を与えている可能性は高いため、それらに関連する蛋白の解析を続けると共に、その他の蛋白への影響についてもPCRなどを用いて解析する予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会における発表は行ったものの、論文作成を行なっておらず、翻訳予定費や投稿予定費が使用できなかったため、次年度で論文作成を行い使用する予定である。
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