2021 Fiscal Year Research-status Report
LATS1キナーゼ欠損で起きる先天性難聴の原因および聴毛機能解析
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19K18744
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 崇経 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90627168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LATS1 / 難聴 / PCP / Hippo pathway |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度までの研究結果からLATS1 KOマウスは、体格の小型化および内外有毛細胞の配列不整や聴毛の異常を伴う先天性内耳性難聴を呈していた。内耳性難聴の原因としては、発生段階でのKinociliumの分布異常を呈しており、Planar Cell Polarity (PCP) の異常を疑う所見が得られた。体格について、出生後の体重は出 生早期から体格は小さく、その後の成長でも体格の小ささは維持される結果であった。出生後のABR閾値は、正確な計測が可能となる4週齢以降において、KOマウスは一貫して高度聴力障害を示し、野生型やヘテロマウスは正常な聴力から徐々に加齢性変化に伴う聴力障害を生じていた。このことから、LATS1 KOに伴う体格 や聴力への影響は先天性非進行性の変化であることが確認された。 PCPへの影響について、胎生マウスを用い、GαiとPar3のマウスコルチ器での免疫染色による 検討では、GαiとPar3共にKOマウスは野生型やヘテロマウスと同様の分布を示しており、LATS1 KOはGαiやPar3とは異なった経路を介した内耳発生障害を起こし ていると考えられた。内耳での表現型に影響を与える要因として、LATS2やpYAPの可能性を免疫染色により検討したが、KOマウスと対照群での分布に差を認めず、LATS1はLATS2やpYAPなどのHippo経路とは独立した、正常な内耳発生に必要不可欠なタンパクであることが示唆された。これらの知見を元 にBiochemical and Biophysical Research Communicationsに論文投稿を行い、受理・掲載された。今年度は、KO、Hetero、WTそれぞれの聴力と体重を長期的に経過観察し、加齢性変化も含めKOマウスのみに表現型があることを確認した。また実験で用いる聴力測定機器の修理を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KO、Hetero、WTそれぞれの聴力と体重を長期的に経過観察し、加齢性変化も含めKOマウスのみに表現型があることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
内耳の表現型の原因として、関連する可能性のあるPCPタンパクへの影響の確認や、ヘテロマウスへの内耳ストレス負荷による影響などを評価する予定である。また加齢性変化に関する論文も投稿予定である。
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Causes of Carryover |
聴力評価で用いるDPOAE機器が故障し、修理を要しており、実験が中断されているため。
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