2023 Fiscal Year Annual Research Report
LATS1キナーゼ欠損で起きる先天性難聴の原因および聴毛機能解析
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19K18744
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 崇経 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90627168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | LATS1 / Hippo経路 / 内耳 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hippo経路は細胞周期を調節し、組織の大きさや形態、硬さや脆弱性などを規定する細胞内シグナル伝達経路である。細胞の骨格を維持する分子としてLATS1/2キナーゼがあり、そのうちLATS1のみが内耳コルチ器に存在すること、LATS1の欠損によって先天性内耳有毛細胞障害を引き起こすことを見出している。本研究では、胎生期から出生までにおけるLATS1のコルチ器形成における生理的意義を明らかにするべく、LATS1ノックアウト (KO) マウスを用いて、LATS1 KOがPCP蛋白に与える影響やHippo経路における働きを研究した。LATS1の欠損によって内外有毛細胞の配列不整および、聴毛の不整・脱落・角度異常から先天性内耳性難聴を引き起こすことを見出した。またこれらの表現型は胎生期から発現しており、原因としてPlanar cell polarity (PCP) などの関与が疑われた。LATS1と関連する既知のPCP蛋白 (Gαi, LGNなど) への影響は認められず、LATS1は内耳有毛細胞の発達段階において必要不可欠なタンパクであることがわかり、その結果をまとめ英字論文 (Nishiyama T, Fujioka M, Saegusa C, et al., Deficiency of large tumor suppressor kinase 1 causes congenital hearing loss associated with cochlear abnormalities in mice. BRC. 2021 1;534:921-926.)として掲載された。また同腹のHeteroマウスにおける、聴力や体重の1年以上に渡る長期経過を観察したが、野生型と比し明らかな差異を認めなかった。
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