2021 Fiscal Year Annual Research Report
メニエール病における内リンパ水腫の発生機序解明に関する包括的研究
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19K18750
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
白石 功 近畿大学, 医学部, 非常勤講師 (90775660)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メニエール病 / 内リンパ水腫 / タンパク質 / プロテオーム / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
メニエール病患者と聴神経腫瘍患者の内リンパ嚢組織を手術により採取し、プロテオーム解析法を用いて内リンパ嚢に含まれるタンパク質を網羅的に定量解析した。まずはメニエール病群と対照群で各群5症例を解析したところ、同定できたタンパク質は2738個、定量できたタンパク質は2677個であった。そのうち、17個のタンパク質がメニエール病群のみ、146個のタンパク質がコントロール群のみで検出された。さらに両群で検出された2514個のタンパク質を定量解析した結果、コントロール群と比べてメニエール病群で有意に発現量が増加しているタンパク質は10個、逆に有意に発現量が減少しているタンパク質は10個であった。この中には過去にメニエール病との関連が報告されているタンパク質も含まれていた。 次にデータに含まれる全タンパク質のアノテーションを行った結果、全部で19個のイオンチャネルが特定できた。この中には水チャネルやナトリウムチャネル、カルシウムチャネルなどの複数種のイオンチャネルが含まれており、これらのイオンチャネルがメニエール病に関係している可能性が示唆される。 これらを踏まえた上でメニエール病に関与している可能性のあるタンパク質に対してノックアウトマウスを作製し、メニエール病症状である難聴、めまい、内リンパ水腫を認めるマウスが出来るかを検討する予定であった。しかし、研究施設の問題などにより動物実験には至らなかった。これより更なるタンパク質の絞り込みと再現性を確認するためメニエール病患者の内リンパ嚢組織を追加して解析を行った。その結果、追加データにおいても最初のデータで得られた主要な結果と類似する傾向が認められた。
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