2021 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭癌・下咽頭癌患者におけるCRT後再発救済手術後合併症リスクの客観的評価法
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19K18752
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大久保 淳一 産業医科大学, 医学部, 講師 (50461570)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 救済手術 / 合併症 / 皮膚弾性 / 皮膚水分量 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年1月から2021年12月までの2年間に喉頭癌・下咽頭癌の患者34例を対象に術後合併症対策の検討を行った。1次治療として放射線療法を施行し救済手術を行った症例を救済手術群(11例)とし、1次治療で根治手術を行った症例を対照群(23例)、また治療後の経過において、合併症を認めた群(7例)と合併症なく経過良好であった群(27例)の2群に分けそれぞれ検討した。 重篤な術後合併症は救済手術群で5例(45.5%)、対照群で2例(8.7%)であり、救済手術群の合併症発生率が高いことが確認された。 救済手術後合併症対策として、有益で客観的な指標となる評価項目を確立できないか検討を進め、皮膚の弾性(真皮の硬さ)、皮膚の水分量で有意な差があることが判明した。 救済群と対照群での比較:皮膚の弾性は両群ともに術後1日目は上昇する。対照群はその後徐々に術前の値へ収束し術後7日目でほぼ術前値に戻ったが、救済群では皮膚弾性は高いまま横ばいとなることが分かった。水分量の検討では細胞内の水分量比較で対照群が有意に高かった。 合併症有無の2群での比較:皮膚の弾性は合併症なし群では術後1日目は上昇し、その後徐々に術前の値へ収束していき術後7日目でほぼ術前値を示したが、合併症あり群は徐々に上昇していき術後5日目でピークを迎え横ばいとなることが分かった。水分量の検討では間質で合併症あり群、細胞内の水分量で合併症なし群が高いことが判明した。術中の粘膜比較では条件が安定せず数値のばらつきが大きく検討が難しかった。今後の検討課題である。 創部皮膚の弾性と水分量の検討より救済群の皮膚弾性は大きく、術前レベルまでの回復に時間を要する。特に術後5日目、7日目に皮膚剛性が高く、間質の浮腫を伴う例は合併症に注意が必要である。創部皮膚の硬さと浮腫は術後合併症のリスク評価項目として有効と考えられ、本研究の成果である。
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