2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子解析による鼻副鼻腔悪性黒色腫新規治療標的分子の同定
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19K18754
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
対馬 那由多 北海道大学, 大学病院, 助教 (50547643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / 耳鼻咽喉科学 / 遺伝子解析 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目以降は得られた臨床データと遺伝子情報からバイオマーカーや治療標的分子を同定することとしていた。 病理検体のパラフィンブロックからmacro dissectionにより標本を切り出し、遺伝子情報の解析を行った。鼻副鼻腔悪性黒色腫の手術検体からDNA、RNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いてのシークエンス解析を施行した。日本を含めたアジア圏の報告はわずかであるために比較は難しいが、皮膚原発悪性黒色腫で高頻度に見られるBRAFの変異は1例にのみ認めた。一方NRASの変異は6例、CTNNB1の変異は2例に認められた。過去に報告されているKITの変異は認められなかった。 6例に認めたNRAS変異症例を他の15症例と比較すると、NRAS変異例では若年である傾向が見られた。また、1例では融合遺伝子の存在が疑われている。融合遺伝子の存在に関しては現在詳細を検討中であり、存在を確定できてはいない。 臨床経過に関しては解析を行った。局所制御は得られているが、遠隔転移による死亡が大部分を占めていた。研究対象症例の中はT4症例で遠隔転移を生じずに生存している症例は見られなかった。鼻副鼻腔粘膜悪性黒色腫では遠隔転移の制御が生命予後と直結する。術後補助薬物療法としての免疫チェックポイント阻害薬は使用が可能な状況となった。一方、術後補助薬物療法の適応基準や術後補助療法としての放射線照射との順序などは定まっていない。遠隔転移を高頻度に生じるような症例を把握することの重要性は以前よりも増していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では3年間で研究を終了予定であった。現状では融合遺伝子の存在確認や遺伝子変異と臨床経過の関連を解析中であり、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
融合遺伝子の存在を確認中である。存在の有無を確認後はこれまでに得られた情報から臨床経過の予測や新規治療の可能性などを検討する。
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Causes of Carryover |
研究が終了しておらず、今後の解析に必要な経費を次年度使用として研究を継続予定である。
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Research Products
(3 results)