2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析による鼻副鼻腔悪性黒色腫新規治療標的分子の同定
Project/Area Number |
19K18754
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
対馬 那由多 北海道大学, 大学病院, 助教 (50547643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鼻副鼻腔粘膜悪性黒色腫 / 遺伝子変異 / NRAS / CTNB1 / BRAF / βカテニン |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は研究内容の論文化を主に行った。 次世代シークエンサーを用いて行った遺伝子変異検索の結果として、18例のうち8例(44%)に遺伝子変異を認めた。BRAF変異は1例(5.6%)に認め、変異形式はエクソン15におけるK601R変異であった。ドライバー遺伝子に対する分子標的治療の対象となるBRAF V600変異は認めなかった。NRAS変異は6例(33%)に認めた。そのうち2例はエクソン3における変異であり、いずれもQ61R変異であった。他の4例はエクソン2における変異(G13Y、G12V、G12R、G12S)であった。CTNNB1変異は2例に認め、エクソン3におけるS45F変異とエクソン2におけるG12R変異であった。1例はCTNNB1とNRAS変異を同時に認めていた(エクソン3におけるCTNNB1 S45F変異とエクソン2におけるNRAS G12R変異)。RNAの解析において融合遺伝子は同定されなかった。 2例のCTNNB1変異例に対してβカテニンの免疫組織化学染色を行った。いずれにおいてもβカテニンの核移行が確認され,2例のネガティブコントロールでは核移行が観察されなかった。 遺伝子変異の有無による全生存率には差がなく、2年全生存率は変異無しでは77%、変異有りでは63%であった(P=0.79)。無再発生存率および累積遠隔転移率においても有意差は見られなかった(P=0.97、 0.96)。NRAS変異の有無で比較した場合も全生存率,無再発生存率,累積遠隔転移率に有意差は見られなかったが(P= 0.90、0.30、0.55)が、全生存率、無再発生存率は低く、累積遠隔転移率は高い傾向が見られた。
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