2021 Fiscal Year Research-status Report
地域住民を対象とした難聴関連遺伝子変異の疫学調査および早期対応の手法の確立
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19K18756
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
後藤 真一 弘前大学, 医学研究科, 助教 (10833577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / 疫学調査 / ミトコンドリア遺伝子 / 加齢性難聴 / ハプログループ / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで検討した酸化ストレスにより産生された過剰な活性酸素腫(ROS)がミトコンドリアに影響を与えることで加齢性難聴を促進させるという結果を英論文として報告した。具体的には以下のとおりである。 遺伝学的検査でミトコンドリアDNAの解析を行い、特定のDNA多型を持つ遺伝的集団を区分するハプログループの解析を行った。同じハプロタイプの集団は遺伝的にも同じような形質を持つといわれている。ハプログループはA, B4, B5,D4a, D4b, D5,F, G1, G2, M7a, M7b, N9に分類される。今回は特定のハプログループと加齢性難聴との関係性について調査を行った。多重比較検定を行ったところ男性のハプログループAが有意に難聴をきたしやすい結果となった。女性ではハプログループN9が有意に難聴になりにくいという結果となった。 ハプログループAは細胞内のROSレベルを上昇させアテローム血栓性脳梗塞の罹患リスクを上昇させると報告されている。またハプログループN9はROSの漏出をしにくい構造を作ることで代謝性疾患である2型糖尿病や心筋梗塞の発症リスクを抑えると報告されている。いずれも本検討を支持する内容となっている。 今後は全国学会で本研究結果の報告をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討により薬剤性難聴の原因遺伝子となるミトコンドリア1555A>G変異、ミトコンドリア3243C>T変異の有病率および、加齢性難聴の原因となるミトコンドリア遺伝子のハプログループ解析を行い、いずれも論文および学会などで報告をしてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き岩木健診増進プロジェクトに参加しデータの蓄積を行う。聴力へ影響を与える遺伝子についても引き続き調査を継続するが、本研究課題における新たな調査は予定していない。これまでの検討結果の報告を中心とする予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度の大規模健診が中止となったため、人件費や調査費用に取られる費用が無かった。その分を2022年度健診に充てる予定である。
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