2022 Fiscal Year Research-status Report
地域住民を対象とした難聴関連遺伝子変異の疫学調査および早期対応の手法の確立
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19K18756
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
後藤 真一 弘前大学, 医学研究科, 助教 (10833577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / 疫学調査 / ミトコンドリア遺伝子 / 薬剤性難聴 / ハプログループ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの検討により薬剤性難聴の原因遺伝子となるミトコンドリア1555A>G変異、ミトコンドリア3243C>T変異の有病率および、加齢性難聴の原因となるミトコンドリア遺伝子のハプログループ解析を行った。 薬剤性難聴原因遺伝子に関しては、地域住民1683人に対して遺伝学的検査を行い、ミトコンドリア1555A>G変異を1名同定した。一方、1494C>T変異を有する被検者は同定できなかった。ミトコンドリア1555 A> G変異の有病率は0.08%-0.7%であると報告されている。今回の疫学調査では、1683人中1人に遺伝子変異が確認され、その有病率は0.06%であった。 一方ミトコンドリア遺伝子の特定のDNA多型を持つ遺伝的集団はハプログループと区分され、同じハプロタイプの集団は遺伝的にも同じような形質を持つといわれている。ハプログループはA, B4, B5,D4a, D4b, D5,F, G1, G2, M7a, M7b, N9に分類される。特定のハプログループと加齢性難聴との関係性について調査を行った。多重比較検定を行ったところ男性のハプログループAが有意に難聴をきたしやすい結果となった。女性ではハプログループN9が有意に難聴になりにくいという結果となった。 上記についてこれまで英論文投稿および全国学会、国際学会での発表を行った。今後もデータも加え対象を増やし検討を進めていく予定である。また、他の難聴の原因となりうる遺伝子変異の有病率及び聴力像についても検討を勧める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度をもって「地域住民を対象とした難聴関連遺伝子変異の疫学調査および早期対応の手法の確立」と題した研究は終了となる。本研究では地域住民を対象とした疫学調査から数多くの遺伝子と難聴との関連性を検討することができた。また、その研究結果から英論文作成、国内・国際学会での発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度をもって「地域住民を対象とした難聴関連遺伝子変異の疫学調査および早期対応の手法の確立」と題した研究は終了となる。しかし、一般地域住民を対象とした疫学研究は引き続き行われる予定のため、今後も新たな難聴に関連する因子の探索に努める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により学会がオンライン開催されることが多くなり、学会参加に旅費がかからないことが増えたため。 また、研究の進行に当たり新たな解析機器の導入が不要になってきたため。 令和5年度は物品の充実、学会発表及び論文作成により研究を進める予定である。
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