2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K18771
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡田 昌浩 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20512130)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内耳慢性虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢性難聴の一因と考えられる内耳血流不全のモデル動物を確立するために、本研究を行った。後交通動脈が欠損しているスナネズミを用い、両側の椎骨動脈を狭窄させることで、内耳慢性虚血モデルの確立を模索している。 当初、マイクロコイルやカフを用い、椎骨動脈を狭窄させることを予定していた。しかし、スナネズミの椎骨動脈にマイクロコイルを巻く手技は困難であった。さらに、コイルを巻き付けることで狭窄は急性に起こり、慢性虚血よりも急性の血流障害を反映する可能性もあった。カフの使用は化膿であったが、狭窄の程度が安定しなかったため、使用しなかった。 そこで、アメロイドコンストリクターと呼ばれる、金属製のリングの内側にドーナツ状のカゼインコアをもつ閉鎖器具を用いることにした。アメロイドコンストリクターを椎骨動脈に留置すると、周囲の滲出液などを吸着し、カゼインコアが膨隆し、徐々に血管を狭窄させることができる。そのため、血流障害を緩徐に引き起こし、慢性的な血管狭窄を引き越すことが出来る。直径1.2mm、幅0.8mm、内腔径0.5mmのアメロイドコンストリクターを使用すると、スナネズミの椎骨動脈に安定して留置できることが判明した。また、留置後も長期生存が可能で、経時的なABRの測定も可能であった。このアメロイドコンストリクターを用い、処置後3ヶ月までABRの経時的変化を測定したところ、閾値は変化なかったものの、I波の振幅が減少する傾向にあった。 ただし、以前から当科で使用していたスナネズミとは異なる種であったため(以前から購入していた業者がスナネズミの取扱を終了したため)、後交通動脈の開存の程度を確認したところ、7割近くのスナネズミで後交通動脈の開存が確認された。そのため、以前から使用していた種を保存していた宮崎大学に依頼し、交配を始め、後交通動脈が欠損しているスナネズミのモデル作成をスタートしている。
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