2020 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺上皮におけるGBP-1の癌細胞動態への影響の解明
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19K18777
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
宮田 遼 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00610875)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 唾液腺癌 / 正常唾液腺管上皮細胞 / GBP-1 / 3細胞間タイト結合分子 / angulin-1/LSR / p63シグナル / 悪性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺癌は全頭頚部癌の5%未満と比較的稀であることに加え,多くの組織型とその亜型が存在している。一般に治療は手術加療が基本となるが,確立された有効な化学療法がないことから,切除不能例や遠隔転移を認める症例に対しては,治療選択に苦慮することが少なくなく,新たな治療方法が望まれている。今回我々は、様々な癌に関与がみられるIFNγにより特異的に誘導されるGBP-1の唾液腺癌の悪性化における役割を検討した。まず唾液腺癌の検討の前に手術材料から分離培養した初代培養ヒト唾液腺管上皮細胞を用いて、正常唾液腺管上皮におけるGBP-1の役割をタイト結合によるバリア機能に焦点を当て検討した。培養ヒト唾液腺管上皮細胞にIFNγを処置したところ明らかなGBP-1の誘導とともに2細胞間タイト結合分子claudin-7および3細胞間タイト結合分子angulin-1/LSRの発現増加、上皮バリアの亢進がみられた。siRNAを用いてGBP-1の発現誘導を抑制したところ、IFNγによるclaudin-7およびangulin-1/LSRの増加を伴った上皮バリアの亢進は抑制された。TNFα処置によっても同様の変化がみられた。様々なシグナル阻害剤を用いて炎症性サイトカインによるGBP-1の誘導シグナルをみたところ、PKCα阻害剤処置によりGBP-1の誘導とともに、claudin-7およびLSRの発現増加、上皮バリアの亢進がみられた。さらに、今回分離培養した初代培養ヒト唾液腺管上皮細胞の全てが転写因子p63陽性であることよりsiRNAを用いてその発現を低下によりclaudin-1、claudin-4の発現亢進、RhoAシグナル阻害剤Y27632処置によりp63の発現亢進、angulin-1/LSR、claudin-1, claudin-4の発現低下がみられた。GBP-1の発現はいずれも変化はみられなかった。以上のことは、GBP-1は正常唾液腺管上皮においては、バリア機能を含めた上皮ホメオスターシスの維持に重要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年、2年度に実施する実験においては、ほぼ終了し有意義な結果を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
p63陽性唾液腺癌細胞株A253を用いてGBP-1および3細胞間局在分子angulin-1/LSRの癌の悪性化における役割を検討する。
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