2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of head and neck cancer model animal and investigation of molecular mechanism about therapeutic effect of the oncolytic virus HF10
Project/Area Number |
19K18778
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高野 学 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (00812744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解ウイルス / 口腔癌マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では発癌作用を持つ薬剤4NQO(4-ニトロキノリン-1-オキシド)に着目し、新たな口腔癌モデルマウスを樹立し、腫瘍溶解ウイルスHF10の抗腫瘍効果を検討した。 4NQOを4週間、C3Hマウスの舌に局所投与し舌腫瘍を誘導した。腫瘍を採取し評価すると、CK14、p63は陽性であり、組織学的にも扁平上皮癌の所見を認めた。この腫瘍よりマウス舌扁平上皮癌細胞株(以下NMOC1細胞)を樹立した。さらにNMOC1細胞をマウスの舌に接種すると、接種後7日以内に腫瘍が形成され、経時的な増大も認めた。 まずin vitroにおけるHF10の抗腫瘍効果を検討したところ、NMOC1細胞にてHF10は良好に増殖し、また良好な殺細胞効果を示した。続いてNMOC1細胞を用いた舌癌マウスモデルを作成し、HF10の抗腫瘍効果を検討した。NMOC1細胞をマウスの舌に接種し舌腫瘍を作成し、舌腫瘍内にHF10を接種したところ、HF10治療群はコントロール群と比較して、腫瘍成長の抑制効果や生存率の改善を認めた。HF10の舌腫瘍への感染を確認するため、GFP遺伝子を組み込んだHF10を腫瘍に接種し蛍光顕微鏡で観察したところ、舌腫瘍内にのみGFPの発現が認められ、HF10が舌腫瘍特異的に分布していることが確認できた。最後にHF10治療により誘導された腫瘍内浸潤リンパ球を評価するため、HF10接種後に舌腫瘍を採取し、病理組織学的に評価した。HF10治療群では腫瘍細胞の壊死を認め、その周囲にCD8陽性T細胞が浸潤していた。 今回、我々は新たなマウス口腔癌細胞株を樹立し、また舌癌マウスモデルを確立した。また口腔癌モデルにおけるHF10の治療効果を評価したところ、in vitro、in vivo共に良好な抗腫瘍効果を認めた。さらに腫瘍内浸潤リンパ球の変化を認めており、HF10による抗腫瘍免疫の増強が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔癌マウスモデルの樹立とマウスモデルにおけるHF10の治療効果について評価を完了し、その内容について論文作成を行った。論文はMolecular Therapy Oncolyticsに投稿・受理され、現在掲載も完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は尾静脈より口腔癌細胞株(NMOC1細胞)を接種し肺腫瘍モデルの作成・樹立を検討している。そして上記記載の口腔癌マウスモデルの手法を併用することで、口腔癌・肺転移モデルの作成を試みる。モデルを樹立できたら、口腔腫瘍にのみHF10 による治療を行い、非治療の肺腫瘍(遠隔転移を想定)に対して抗腫瘍効果(抗腫瘍免疫の誘導)が認められるかを検討する。 またHF10治療後の腫瘍を採取してリンパ球を抽出し、フローサイトメトリーを施行することで、腫瘍免疫を担う細胞群や制御性T細胞(T-reg)やMDSCなど腫瘍免疫を抑制する細胞群の構成を評価する。また治療後の腫瘍の一部を切離し、蛋白を抽出し、組織内に誘導されたサイトカインを検討する。それらによって、HF10により誘導された抗腫瘍免疫を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は口腔癌マウスモデルの樹立やマウスモデルを用いたHF10の治療効果の検討を中心に行ってきたが、HF10により誘導された抗腫瘍免疫の評価は全て施行することが出来ず、そのために計画していた経費は次年度に使用する予定としている。次年度は舌癌・肺転移モデルの作成や、モデルを作成後にHF10により治療を行い治療後の腫瘍を採取してフローサイトメトリーや免疫染色を施行することでHF10により誘導された抗腫瘍免疫の評価を行う予定である。経費としては実験動物(マウス)・実験器具、麻酔薬。細胞培養液・細胞培養実験器具、免疫染色やフローサイトメトリーの抗体などの試薬として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Oncolytic activity of naturally attenuated herpes-simplex virus HF10 against an immunocompetent model of oral carcinoma.2020
Author(s)
Takano G, Esaki S, Goshima F, Enomoto A, Hatano Y, Ozaki H, Watanabe T, Sato Y, Kawakita D, Murakami S, Murata T, Nishiyama Y, Iwasaki S, Kimura H.
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Journal Title
Mol. Ther. Oncolytics
Volume: 20
Pages: 220-227
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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