2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K18781
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
穐吉 亮平 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80572859)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 聴覚中枢 / 周波数 / 領域イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に、マウス大脳皮質聴覚野の神経活動を可視化するための実験系の構築を行った。ウイルスベクターを用いて、皮質神経細胞にカルシウム感受性蛍光タンパク質を発現させることが可能となったが、領域イメージング法を用いた観察では主に麻酔下による観察であった。 今年度は、覚醒下での観察を安定的に行えるよう実験を推進するため、聴覚野観察に特化した頭蓋固定装置を開発した。同装置を用いることにより、覚醒下での動物の振動や呼吸・心臓の拍動を最小限に抑えることができ安定してイメージング画像を取得することが可能となった。さらに、頭蓋窓作製の手術時にも有用であることが分かった。同実験系を用いて、音刺激時の誘発応答をとらえ周波数による応答領域の違いを同定し、大脳皮質聴覚野の周波数マップを作成した。この周波数マップが、高度難聴により機能的に変化しうるのか現在検討中である。さらに、固定装置を一部改良することで、同一個体で両側大脳皮質聴覚野の観察窓を作製し上行性聴覚伝導路と脳梁を介した皮質-皮質間の結合特性を測定する実験を検討中である。また、同時に聴性脳幹反応により高度難聴を確認する手技の習得を行った。 今後は、領域イメージングで観察された神経細胞活動を興奮性神経細胞および抑制性神経細胞として独立して可視化し、それぞれの細胞の音刺激による活動様式や加齢性難聴あるいは突発性難聴に代表される内耳性難聴において音入力消失に対しての皮質の応答を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
麻酔下および覚醒下における大脳皮質聴覚野の神経細胞活動を特殊な固定装置を新たに作製することで生体で安定して観察することが可能となり、様々な周波数による純音刺激および聴性脳幹反応と組み合わせた実験系が確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、音刺激時の大脳皮質聴覚野の誘発応答を難聴発症前後で領域イメージング法により計測し応答様式の相違を明らかにする。相違の原因として、どのような局所回路で神経活動が制御されているのかを興奮性神経細胞および抑制性神経細胞を可視化しその活動タイミングや様式を明らかにすることで解明していく。また、片側聴覚野を破壊したマウスにおいて、左右の耳から入力した各種周波数に対する応答について、障害と反対側半球の聴覚野の活動を領域イメージングと最初期遺伝子を用いた免疫組織化学染色を用いて明らかにする。
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Causes of Carryover |
2020年度に購入した物品に対して値引き交渉を行い、使用額の費用が抑えられたため。 次年度では物品試薬・実験動物含め現在の実験系を用いて継続して研究を行っていく。
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