2020 Fiscal Year Research-status Report
咽喉頭気管粘膜疾患と細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)のメカニズムの解明
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19K18782
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
木村 朱里 北里大学, 医学部, 助教 (40623137)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外シグナル調節キナーゼ / マウス気管狭窄モデル / MEK阻害剤 / 気管狭窄予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管狭窄・瘢痕声帯は外科手術を施行しても難治性・再発性の疾患であり治療に難渋することが多い。今回、気管・咽喉頭の創傷治癒過程におけるExtracellular signal-regulated kinase 細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK) のメカニズムの解明を目的とし本研究を行っている。
今回の目的と実績概要を以下にまとめる。①マウス気管瘢痕狭窄モデル作成、②正常気管基底細胞におけるリン酸化ERK(p-ERK)発現の確認、③焼灼気管におけるp-ERKの経時的変化、④ERK上流に位置するMEKに対する阻害剤投与を用いたp-ERK発現の低下の確認、⑤MEK阻害剤を用いた気管狭窄の予防効果の確認
①マウスの気管切開後に気管切開孔から電気メスにて気管前壁を焼灼し、7日後に気管の摘出を行った。焼灼群ではコントロールと比較して有意に気管瘢痕狭窄を認めることを確認した。②正常気管においてp-ERK抗体と、基底細胞抗体であるp63抗体とを用いて二重染色を行い、基底細胞にp-ERKが発現していることを確認した。③焼灼モデルの気管を5分、30分後、90分後に採取した。p-ERK抗体を用いてWestern blotを行い、熱傷後早期からp-ERKが上昇し、5分をピークとしてその後は低下することを確認した。④30分前にMEK阻害剤を投与した焼灼気管では、p-ERK発現が焼灼90分後まで有意に低下していることをWestern Blotにて確認した。⑤MEK阻害剤投与群と阻害剤非投与群において、焼灼7日後に組織学的評価を行い、阻害剤投与群で有意に気管狭窄率が低下していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気管瘢痕狭窄モデルをマウスで作成した。このモデルを使用し、ERK上流のMEK阻害剤を投与することによって、気管狭窄・瘢痕予防効果の検討を行うことができた。 今後は、ERK1/2それぞれのノックアウトモデルを用いた研究も可能となると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ERKノックアウトマウスによる創傷治癒・瘢痕形成の検討: ERK1または2の関与を詳細に調べる目的で、野生型とERK KOマウスにおける創傷治癒・瘢痕形成への影響を検討する。正常マウス、ERK1KOマウス、部位特異的ERK2KOマウス(ERK2(-/-)マウスは胎生致死となるため本研究では用いない)を各々を比較し、ERK1、2の役割を明らかにする。ERK発現を調節する薬剤や遺伝子治療などによる瘢痕形成抑制、正常粘膜再生促進効果などの治療効果を検討する。 また、今後さらに、気管狭窄モデルを用いて、炎症や線維化に関わるとされるサイトカイン(IL-4,13,TGF-βなど)やマクロファージ、好中球などとの関連性も確認していきたい。
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Causes of Carryover |
予定されていた国際学会が延期となったため、今年度分の残金が発生した。 使用計画として、翌年度の動物飼育管理費、学会参加費、論文経費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)