2023 Fiscal Year Annual Research Report
中耳真珠腫におけるエピジェネティクス制御機構の解明
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19K18786
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 昌寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50581691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 真珠腫 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】部分的上皮間葉転換(p-EMT)は上皮細胞が細胞間接着を部分的に失い、遊走能を得るために変化するプロセスである。転写因子p63はカドヘリンファミリーの発現を調節し上皮細胞の増殖を誘導する。本研究では中耳真珠腫においてp63発現下で認めるp-EMTが上皮細胞増殖の重要な要因であると仮定した。 【方法】対象は外科的に切除した先天性真珠腫(CC)(n=48)、後天性中耳真珠腫(AC)(n=120)、および正常皮膚組織(n=34)である。EMTマーカー(N-cadherin: N-cad)、アドヘレンジャンクションマーカー(E-cad)、タイトジャンクションマーカー(CLD-1、CLD-4、OCL)の免疫組織染色による分析を行った。またp63のラベリングインデックス(labeling index: LI)と増殖細胞核抗原(PCNA)(後期S期マーカー)、および遊走マーカーとしてSnailの発現も検証した。 【結果】p63の発現(CC 51.0±7.4%、AC 50.0±5.9%)は、正常な皮膚組織と比較して、CCおよびACの肥厚した上皮で有意に高く(p <0.0001)、E-cadの減少が観察された(CC 50.0%、AC 55.8%)が、タイトジャンクションの発現パターンはほぼ正常だった。N-cadはCCおよびACの上皮の基底層および基底上層で部分的に検出された。正常な皮膚組織とは対照的に、PCNAのLIはACで有意に高かった(p <0.0001)。Snailの陽性率はCCで有意に高かった(p <0.0001)。 【結論】本研究はp63シグナル伝達経路を介したp-EMTがACおよびCC形成の際に上皮細胞増殖における重要な役割を果たす可能性があることを示した。一方、これらのプロセスでタイトジャンクションの形成と最終分化には影響がなかった。
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Research Products
(12 results)