2021 Fiscal Year Research-status Report
バイオインフォマティクスアプローチによる後天性中耳真珠腫シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
19K18790
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 篤 北海道大学, 大学病院, 医員 (70609742)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 後天性中耳真珠腫 / Notch1 / HES1 / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
後天性中耳真珠腫は、角化扁平上皮の異常増殖により側頭骨中耳に生じる境界明瞭な非腫瘍性病変である。局所浸潤性があり、頭蓋内に進展した場合は合併症に より死亡する可能性がある。発症原因は未だ明確にされておらず、依然として根本的治療は外科的治療のみである。当研究では真珠腫における増殖・骨溶解シグ ナル伝達機構についてゲノム・プロテオーム解析を軸にして網羅的に解析し、増殖・骨溶解シグナル伝達およびそのシグナル伝達系相互のクロストークに関連し た分子群を同定する。真珠腫発症・増殖・骨溶解メカニズムを分子生物学的側面から解明し、分子標的治療法開発の基盤を確立する。本研究で、真珠腫の病態生 理に関わる新たな標的分子、シグナル伝達機構を解明することができれば、今後の真珠腫治療におけるbreak throughとなり、真珠腫の非外科的治療法開発へ大 きな一歩となることが期待される。また、臨床的側面との関連性も検討することで、組織破壊性との関連や、外科的治療後の再発リスク因子の同定も可能とな る。 本年度は、これまでに得られた多数の後天性真珠腫検体、およびコントロールとしての外耳道皮膚を用いて行った免疫染色によるタンパク発現解析によって得られたデータの解析を行った。その結果、正常外耳道皮膚に比較して、後天性中耳真珠腫は有意にNotch1とHES1の発現が低下し、p53は増加していることが認められた。この結果に基づいて論文化を行い、国内での学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られたデータおよび解析内容に基づいて、国内での結果発表、および論文化を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ解析しきれていないデータについて解析を進め、国内外での結果発表、および論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国内外の学会が新型コロナウイルスの影響で中止となり、当初の予定より使用しなかったため次年度使用額が生じた。次年度の使用計画としては学会参加等を予定している。
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Research Products
(2 results)