2019 Fiscal Year Research-status Report
Cochlear synaptopathyに対する予防法・治療法の開発
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19K18792
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 東北大学, 大学病院, 助教 (80735895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | cochlear synaptopathy / 内有毛細胞 / シナプス / グルタミン酸毒性 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は計画通り、酸化ストレスとシナプス障害との関連性と検討するために、下記の実験のセットアップを行った。①一過性聴覚閾値上昇(TTS: temporary threshold shift)を生じさせる騒音暴露条件の設定(C57BL/6マウスに対して)、②Cochlear wholemount作成のための環境の再整備(機材、顕微鏡などの調整)、③共焦点顕微鏡ライカSP8、3D解析ソフトAmiraを用いた内有毛細胞シナプスの評価系の確立、④マイクロインジェクターNanoliter2010を用いた後半規管投与系の確立、⑤マウス経正円窓投与系の確立(生理食塩水使用)、⑥CBA/Jマウスの飼育・繁殖。 酸化ストレス応答転写因子Nrf2とシナプス障害との関連性を評価するために、Nrf2活性化作用のある15.4%グルコラファン混合餌投与実験を行うこととしたので、下記の予備的実験も行った。①8週齢のC57BL/6マウスに適切な永久性聴力閾値上昇 (PTS:permanent threshold shift)を与える条件設定(8-16kHz, 98dB, 2hrとした)、②15.4%グルコラファン混合餌の作成(ペレット状)、③15.4%グルコラファン混合餌とコントロール餌との摂食量・体重増加量の比較(コントロール餌と有意差がないことを確認)。 次年度は、本年度の予備実験の結果を活用して具体的な実験(抗酸化剤・NMDA受容体阻害薬投与実験、遺伝子改変マウスを用いた実験など)を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内有毛細胞シナプスの評価には、特殊な評価系(ABR第1波振幅といった電気生理学的解析、共焦点顕微鏡や3D解析ソフトによる免疫組織化学的解析)を用いる。当施設で有する機材を用いて解析を行うためには、適宜予備実験を行う必要があるため、実験の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の予備的な実験で得られた成果を元に、抗酸化剤とNMDA受容体阻害薬の投与実験を順次行っていく。まず初めに、Nrf2活性化作用のある15.4%グルコラファン混合餌投与実験を行う。本年度で確立したPTSの実験系で、コントロール餌との間でABR閾値や蝸牛形態(有毛細胞数、ラセン神経節細胞数)に有意差があるようなら、TTSの実験系でシナプス数の評価も行う予定である。 薬剤の投与実験に並行して、遺伝子改変動物を用いた解析も行っていく。まずはNrf2ノックアウトマウスの解析を行う予定である。ミトコンドリア機能とcochlear synaptopathyとの関連性を示唆する研究成果が近年発表されており、ミトコンドリア機能が低下する遺伝子改変マウスを用いた実験も計画している。
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