2021 Fiscal Year Annual Research Report
Cochlear synaptopathyに対する予防法・治療法の開発
Project/Area Number |
19K18792
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 東北大学, 大学病院, 講師 (80735895)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | cochlear synaptopathy / 内有毛細胞 / シナプス / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度において、酸化ストレスとシナプス障害との関連性を検討するために下記の実験を行った。①CBA/Jマウスの飼育 繁殖、②Nrf2ノックアウトマウスのC57BL6マウスからCBA/Jへのバッククロス、③NMDA受容体阻害薬投与の予備的な実験、④ミトコンドリア機能が低下するNdufs4ノックアウトマウスの解析。 NADH Dehydrogenase (Ubiquinone) Fe-S protein 4(Ndufs4)は、ミトコンドリア複合体 Ⅰの合成と安定化に関与するサブユニットである。今回、Ndufs4 KOマウスと野生型(WT)マウスを用いて、Ndufs4が音響曝露に対する脆弱性に関与するかを検討した。免疫染色(パラフィン切片およびwholemount)でNdufs4がラセン神経節細胞、有毛細胞、線維細胞など蝸牛に広く発現することを確認した。永続的閾値上昇(PTS)条件(100dB, 8-16kHz, 2hr)の騒音に暴露したところ、WTマウスに比してKOマウスでは4kHzのABR閾値に有意な上昇を認めた。有毛細胞のカウント、ラセン神経節細胞カウントなどの組織解析では2群間に有意差を認めなかった。一過性閾値上昇(TTS)条件(84dB, 8-16kHz, 2hr)の騒音に暴露したところ、ABR第Ⅰ波振幅、内有毛細胞シナプス数のいずれにおいても、2群間に有意差を認めなかった。Ndufs4欠損は低音域のPTSに関与するが、cochlear synaptopathyの発症には寄与しないことが明らかにした。 今後は本研究で得られた成果を元に、期間内に施行できなかったNMDA受容体阻害薬や抗酸化剤の投与実験を行う予定である。
|