2020 Fiscal Year Research-status Report
におい刺激による嗅覚系ニューロン再生の検証、分子機構の解明と認知症治療への応用
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19K18822
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
石倉 友子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90769118)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嗅覚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗甲状腺薬であるメチマゾールは嗅神経を障害する薬剤として知られており、本薬剤の腹腔投与で嗅上皮障害モデルを作成した。におい刺激は、人への嗅覚刺激療法として報告されている4種(バラ、ユーカリ、レモン、クローブ)の匂いを毎日、朝夕に嗅ぐという方法に倣い行った。におい刺激の有無でマウスを2群に分け、メチマゾール投与後、新生嗅細胞が成熟し始めるとされる障害後7日から、先に挙げた4種の匂いを各種1分ずつ朝夕に嗅がせる形でにおい刺激を14日間実施、嗅覚改善の観察に行動実験を行った。行動観察には前年度開発した空間の明暗に対するマウスの嗜好性質を組み込んだを装置を使用し、マウスの嫌悪臭である酪酸に対する忌避行動を確認した。開始7日後、14日後で2群の嗅覚忌避行動に有意差は認めなかった。 次いで、嗅覚刺激療法の効果を高める治療法の研究として、皮下脂肪由来幹細胞の経鼻移植研究を行っている。嗅上皮障害モデル動物での脂肪由来幹細胞の経静脈投与による嗅上皮再生促進が報告されてきたが、経静脈投与では血栓のリスクがあり臨床応用は困難であった。我々はこの問題を解決するため、メチマゾール投与嗅上皮障害マウスにGFPマウス皮下脂肪由来幹細胞の経鼻移植を行い、移植して14日後に嗅覚忌避行動回復促進効果を認めた。また、免疫染色で鼻内の幹細胞の局在を確認したところ、経鼻移植14日後ではGFP陽性細胞は認めなかったが、嗅上皮の成熟嗅細胞の増加を脂肪由来幹細胞移植群で明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自身の不手際、COVID-19流行により実験の進行に遅れが出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
におい刺激の実施期間・観察期間や刺激の回数や時間、刺激に使用するにおいをマウスの好む匂いへ変えるなど、条件を変更し嗅覚行動を確認する。抗Ki-67抗体や抗TrkA抗体などの免疫染色で、鼻腔組織ならびに脳組織の染色・検討を行う。 脂肪由来幹細胞点鼻の有無による細胞増殖亢進を、免疫染色で抗Ki-67抗体や抗TrkA抗体などの染色を行い、嗅覚改善の仕組みを検討する。
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Causes of Carryover |
実験の遅れのため試薬等に使用する金額が少なく、翌年に動物実験や染色を行う予定。
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Research Products
(2 results)