2020 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌叢と遺伝子変異の相互作用に着目した滲出型AMDの病態解明
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19K18831
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安田 正幸 東北大学, 大学病院, 助教 (00569585)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性(AMD: age-related macular degeneration)は成人中途失明原因の上位を占め、超高齢社会を迎える本邦において、生活の質の維持や医療経済的にも多くの問題を抱えており、新たな治療のブレークスルーが必要である。加齢黄斑変性は遺伝的素因の関与が比較的大きいが、それだけでなく、酸化ストレスや慢性炎症が重要な役割を果たすとされている。さらに、近年、腸内細菌叢の構成異常(dysbiosis)が酸化ストレスや慢性炎症を引き起こすことが様々な加齢性疾患の病態に関与することが示唆されている。本研究では、環境因子としてのdysbiosisや酸化ストレスに着目し、AMDの臨床表現型との関連を調べることを目的とした。対象者は東北大学病院眼科外来に通院し、少なくとも片眼に滲出型AMD(wAMD)を有する患者で、対照群は滲出型AMDを有しない白内障患者または黄斑前膜・黄斑円孔患者とした。フリーラジカル分析装置(Wismerl l社)を用い、血中の酸化ストレス度(dROM)、抗酸化力(BAP)を測定し酸化ストレスマーカーとwAMDの関連を調べた。その結果、wAMD群においてdROMとは有意に高値であった(P<0.01)。BAPは有意差を認めなかった(P=0.37)。対象者の糞便からDNAを抽出し、16Sメタゲノム解析を行ったところ、wAMDではBacteroidetes門とVerrucomicrobia門の構成に有意な変化を認めた。本研究では、酸化ストレスや腸内細菌叢の変化がwAMDの病態に関連することが示唆された。この成果は、将来的にwAMDの個別化予防医療に貢献する可能性がある。
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Research Products
(10 results)