2019 Fiscal Year Research-status Report
ヘルペスウイルス眼感染症におけるウイルスタイピングの解析
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19K18834
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
細貝 真弓 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (20760177)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / 単純ヘルペスウイルス / 水痘帯状疱疹ウイルス / サイトメガロウイルス / 遺伝子型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘルペスウイルスは9種類存在し、それぞれが角膜炎、前部ぶどう膜炎、網膜炎など様々な眼感染症に関連し、患者背景など臨床像は多様である。例えば、サイトメガロウイルス(CMV)は免疫不全状態で網膜炎を起こすことが知られてきたが、近年、免疫正常者の角膜炎や前部ぶどう膜炎に関わることが分かってきた。さらにCMVのgB遺伝子型は、角膜炎と前部ぶどう膜炎では類似している一方で、網膜炎とは異なることが報告された。CMVの他の遺伝子や、他のヘルペスウイルスについても、臨床病型の違いとウイルス遺伝子型に関連がある可能性が推測されている。 各ヘルペスウイルスの遺伝子型と臨床病型との関連を検討するために、ヘルペスウイルス眼感染症患者より診断目的で採取した眼検体(角膜擦過物、前房水、硝子体液、涙液)より抽出したDNAを使用し、各ヘルペスウイルスの遺伝子型を調べた。これまでに、主に単純ヘルペスウイルス(HSV)のUS2、gG(US4)、gI(US7)、水痘帯状疱疹ウイルスのORF38、ORF54、ORF62、CMVのgB、UL128、UL144などの遺伝子領域をPCRで増幅し、3130xL Genetic Analyzer(Life technologies)でシーケンスを行い、既知の系統株への分類を行った。 患者の臨床病型(角膜炎、前部ぶどう膜炎、網膜炎)、基礎疾患、免疫状態などの臨床データを調査した。一般的には片眼性の角膜ヘルペスを、両眼に発症した症例の涙液および角膜擦過物を用いたHSVの制限酵素断片長多型(RFLP)法による遺伝子解析を行ったが、現時点でHSV遺伝子型と臨床的な表現型との相関は示されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
眼検体(角膜擦過物、前房水、硝子体液、涙液)から抽出されたDNAを用いた次世代シーケンスの結果、当初想定していたようにヒトゲノムの解析データが多くを占め、目的のヘルペスウイルスの解析データが少なかったため、ウイルス全ゲノムをロングPCRで特異的に増幅することを試みた。増幅されない検体や遺伝子領域があり、全ゲノムをカバーするのは困難であり、プライマーの設計、増幅条件の検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、各ヘルペスウイルスゲノムを遺伝子領域ごとにPCRで増幅し、シーケンスをする。得られたウイルス遺伝子配列の情報から、遺伝子型の解析を行う。患者の臨床病型、基礎疾患、免疫状態などの臨床データを調査し、ウイルス遺伝子型との関連を検討する。
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