2019 Fiscal Year Research-status Report
光干渉断層計をもちいた前視野緑内障の早期発見についての研究
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19K18840
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹本 大輔 金沢大学, 医学系, 助教 (70833044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前視野緑内障 / 光干渉断層計 / 上下非対称性 / 早期発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障は、加齢がリスク因子の慢性進行性疾患であり、可能な限り早期に発見し何らかの医療介入がなされることが望ましい疾患である。私は、光干渉断層計をもちいて超早期、すなわち前視野緑内障の初期段階で、定量的手法において、その診断につながる研究をおこなってきた。「上下非対称性」という概念に着目して、当院の患者と正常人を比較することで、その診断能の詳細を解析し、さらには臨床的使用に役立つと考えられるインデックスの発案とその基準値を明示することができ、その成果を論文化した。 以下に具体的内容を記す。 ①黄斑部の上下非対称性を数値化した2種類の指標を発案した(ここでは指標Ⅰ、指標Ⅱとする)。②黄斑部網膜内層の各層(RNFL、GCL/IPL、GCC)ごとに、指標Ⅰの前視野緑内障の診断能の検討し、GCL/IPLの優位性を明示した。③指標Ⅱを検討することにより、上下差が具体的に何マイクロメートル以上あれば異常とみなすべきなのかを各層ごとに明示した(RNFLでは4マイクロメートル、GCL/IPLならびにGCCでは8マイクロメートル)。④従来用いられていた平均厚などをもちいた指標との診断能を比較し、とくにGCL/IPLにおいては、今回発案した指標の優位性を示した。⑤今回発案した上下非対称性指標について、ROC解析から求めたカットオフ値を明示(指標Ⅰは4.4マイクロメートル、指標Ⅱは4個)し、臨床応用がなされやすいよう工夫した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に症例が蓄積し、予定していた解析の多くを実施できた。また、その結果も良好であり、海外学術誌に成果を公表できた。現在出版待ちの状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度において、前視野緑内障の早期発見というテーマに対して、一定の見解を科学的に呈示することができた。さらに、個々症例の追跡調査から、私は光干渉断層計で見出せる上下非対称性は、緑内障発現の最初の徴候であるという仮説を立てている。ただしこれを実証するには多数の患者を緑内障発症前から経過観察を行わればならず、一からの大規模な調査が必要となり、当該の研究枠で行うのは困難である。 今後は、今回集積した症例の経過観察を主に行い、病状の進行速度と光干渉断層計を始めとした様々なデータとの関連を調べ、悪化予測因子の同定を進める予定である。
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Research Products
(4 results)