2019 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性及びその類似疾患における遺伝的・臨床的背景
Project/Area Number |
19K18841
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
米山 征吾 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (90751652)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 加齢黄斑変性 / 遺伝子 / 中心性漿液性脈絡網膜症 / 治療予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加齢黄斑変性患者における遺伝的要因と環境的要因を調査し、その原因を明らかにする事を目的としていた。以前より感受性遺伝子や抑制遺伝子に関しても多数報告しているが、現在、遺伝子と治療効果との関連について調査している。 具体的には、加齢黄斑変性と関連している遺伝子であるARMS2 A69S(rs10490924)・CFH I62V(rs800292)・CFH(rs1329428)・SKIV2L(rs429608)・C3(rs2241394)・CETP(rs3764261)・ADAMTS9(rs6795735)と、加齢黄斑変性に対する治療薬である抗VEGF剤(アフリベルセプト)との関連性について調査している。抗VEGF剤は1月に1回の注射を行うこととなっているが、疾患の再発や注射回数にかかわる因子として、ある種の遺伝子多型が関連していることが分かった。このことにより、治療の反応性を予測することができ、将来的には個々のオーダーメイド治療を行う一助になると考えている。 また、加齢黄斑変性における前駆病変のdrusenと治療反応性についても調べている。drusenとは加齢黄斑変性における前駆病変と言われているが、いくつかの種類に分けられる。加齢黄斑変性を発症していない眼のdrusenタイプにより、治療反応性が異なるかを現在調査しており、論文報告する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年の間で、加齢黄斑変性の治療反応性・再発と感受性遺伝子との関連を発見することができ、論文報告もした。その点からは、おおむね順調に研究は進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
黄斑部に漿液性網膜剥離を来す中心性漿液性脈絡網膜症でも,中心窩脈絡膜の肥厚化や脈絡膜血管透過性亢進所見を認め、加齢黄斑変性の一型であるポリープ状脈絡膜血管症と共通の病態が認められている。実際,国内外の多くの報告から,加齢黄斑変性と中心性漿液性脈絡網膜症は同じスペクトラムに属する疾患ではないかと言われている。ただし,中心性漿液性脈絡網膜症に対する主な治療としては,光線力学療法しかなく,本邦では保険適応となっていない。 また,中心性漿液性脈絡網膜症の発症に関連する遺伝子として,加齢黄斑変性の感受性遺伝子でもある ARMS2 A69S(rs10490924)・CFH I62V(rs800292)や CFH(rs1329428)などが報告されており、これらの遺伝子と臨床所見・治療反応性などとの関連を調べることにより、病態や視力予後、新たな治療の発見の一助となることが期待される。 現在、中心性漿液性脈絡網膜症において性別と臨床所見との関連について調べ始めている。また、感受性遺伝子との関連についても今後調査していく予定である。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の流行のため、参加する予定だった学会が中止となり、旅費が不要となったため、予定より使用額が少なくなった。次年度以降も流行状況により、学会の中止などが予想されるため、その費用は予定より少なくなる可能性はある。 次年度以降は加齢黄斑変性や中心性漿液性脈絡網膜症に関連する遺伝子について、他施設との共同研究も視野に入れて、調査対象を広げる予定である。そのための、物品費などに使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)