2021 Fiscal Year Annual Research Report
網膜に対するメカニカルストレスの分子生物学的機構の解明
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19K18844
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
塩出 雄亮 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20711097)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミュラー細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 細胞伸展刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜細胞(MIO-M1、pRPE、およびiPS-RPE)の培養を行い、安定して実験に使用することが可能になった。これらの細胞を用いて培養細胞伸展装置による細胞伸展刺激を行っている。 ミュラー細胞の細胞株であるMIO-M1細胞に対して伸展刺激を負荷すると、転写因子であるp-ERKの発現が亢進した。Lindqvistらの報告では(Lindqvist et al. 2010 IOVS)伸展刺激を負荷したラット網膜でミュラー細胞のp-ERK亢進が発現することが報告されており、本モデルがミュラー細胞の伸展刺激モデルとして妥当であることを裏付ける結果であった。前年度までに検証されたMIO-M1伸展刺激による、c-Fosの発現増加にp-ERKが関与している可能性が示唆された。 また様々な細胞の増殖、分化、遊走に影響を及ぼすFGF2についても検討することとした。FGF2遺伝子の発現変化についての検証のためにRT-PCRを行ったところ、FGF2遺伝子は刺激を行っていないMIO-M1に比較して伸展刺激を負荷したMIO-M1細胞において約2倍程度発現が亢進した。これらの結果から、黄斑上膜や増殖硝子体網膜症などの網膜に牽引がかかる病態の一部に、ミュラー細胞の伸展刺激負荷に対する細胞内シグナルの変化が関している可能性が示唆された。
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